2017.8.27(日)
銅親水公園 -渡渉 -林道 -スリットダム -1255m地点に向かう支尾根 -熊った -インファイト回避 -謎のトラバース道 -支沢大滝A -支沢大滝B -支沢左俣ナメ小滝地帯 -伏流 -地味尾根に上がる -稜線 -ニセ沢入山 -沢入山 -ニセ沢入山 -中倉山 -林道 -渡渉 -銅親水公園

熊はボルトより速い。


お盆明けから忙しい日々が続いていた。毎日残業してるのに新たな仕事が舞い込み我がスケジュール一向に楽にならず。週末の天気は微妙っぽいくせして平日はそれなりにいい天気なのもイラっとする。やってられんなと思っていたら先輩から久々に打とうぜとお誘い。まあどうせ土曜は雨だしとOK出した。
そんなわけで土曜は昼から麻雀。普通に上がって普通に振り込みほんのり勝って貸卓台でマイナス。いつものことである。苦手な煙草の煙が全身に染みついたので帰宅即洗濯・風呂。解毒のため23時前には寝た。

8/27、四時過ぎに起きる。わりと熟睡したおかげで煙草の毒は抜けたようだ。天気予報は微妙だが雨は降らなそう。
そういうことなら一地味行くか。明日もどうせ忙しいし遠出する気にもならず軽食感覚で足尾に行くことにした。5時に家を出る。
いつものように渡良瀬遊水地の横を通り50号へ。大田市に入るくらいで雨が降り出すが戻るのも面倒なのでそのまま走らせる。122号のセブンで飯を買いのんびりしていたら7時を過ぎた。
やけにバイクが多いしトロい。バイク乗りなら潔く飛ばして潔く散ればいいのに。別に煽りはしないが目障りだなあと天気同様どんよりした気持ちになりつつあった。

7時40分くらいに銅親水公園に付くと駐車場が9割型埋まっていた。こんな天気でもハイカーは多いのかと思いきや登山するっぽい人はあんまり見ない。
釣りと観光客が多いのかも。
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準備をしていると登山装備の老夫婦が橋を渡って西へ行こうとする。導水管橋は通行止めですよと言おうかと思ったが中倉山方面に行かないかもしれないし、こっそり橋を突破する気かも知れない。見なかったことにした。
7:54、歩きだす。

今日の歩きだしは先週下したての新しい登山靴・・ではなくフェルトの沢靴。ちょっと試してみたいことがある。
道路を上がり案内板横の隙間から草むらに下りて西進。
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導水管橋亡き今、面倒だと思いながら毎度林道で遠回りしているわけだが、渡渉して直進すればよくね?と前から思っていた。雨降りが続いた時は流されるので実行していなかったがここ数日はそんなに降っていなそうだしワンチャンあるのでは。
とりあえず手前の流れは細いし浅いので軽く渡って次が本番。
うーん・・なんとかいけるか?
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水の流れはすごく速いわけでもないが緩くもなく。ストックでバランスとりつつ勢いで突破。深さは僕の腰まであった。早速のずぶ濡れである。
これは水量多い日にやったら怖いな・・・。渇水期でも膝くらいまでは浸かりそうだし沢行く時じゃないと使えなそうだ。一応渡ってから右を見たらそちらの方が若干浅そうではあったが・・。泳ぐつもりならいつでもいけるんだろうけど。

もう一度くらい渡渉あるのかねえ・・と西からの流れに沿って河原を歩いて行くがそのまま渡渉することなく導水管橋のちょい北ありで林道に合流した。距離にして500m、5分くらいは短縮できたはずだがわざわざ使うものでもないルートだったかな。
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なにより初っ端からびしょ濡れかつ沢靴でアスファルトを歩くと言うのがなんとなく良くない。次からは真面目に林道を歩こう、と思いつつ仁田元沢沿いの林道を歩いて行く。

井戸沢を過ぎたくらいだったか、前方から木の枝を持った男性が歩いてきた。
まだ8時過ぎなのに下山とは随分早いなと思いつつ、すれ違う時に挨拶すると"中倉山ですか?"と聞かれた。いえ、仁田元沢へ行って・・と言うと"ふみふみぃさん?"と言われる。
あれっお知り合いでしたっけ・・・。よく見てみると見覚えがあるな・・サクラマスさん、かな(12月に大小山で初めて会って以来で確証が持てなかった)。手に持っているのも木の枝ではなく釣り竿入れる袋だった。ということは釣りの帰りか。話を聞いてみると仁田元沢で釣りしてきたもののイマイチだったとのこと。本当は松木川の6号ダム上に行くつもりだったが先客が多くてやめたらしい。仁田元沢から適当にトラバース道を探って・・と今日の予定を話してお気をつけてと別れた。足尾をぶらついていれば案外また逢う日は近いかもしれない。

中倉山の入り口前をスルーして林道奥へ。橋から見るスリットダムの水量はこの前よりは少ない気がする。
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橋を渡って上へ登ると矢板ナンバーのバイクに釣り竿入れる袋が立てかけてあった。先客ありのようで。

スリットダムを越えて8:57、入渓。今日は最初から沢靴履いてるからこのまま沢に入れて楽だなあ。と、少し行ったところでヘルメット被るのを忘れていたのに気付き慌てて装備。この前の歩きで仁田元沢下流部の様子は分かっているのであえて前回と違う動きをしてみたり。時折岩に足跡がある。先行者のものだろう。バイクの持ち主か。
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下から登りたいところだがやはり釜が深いので一段上から小滝を登る。
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9:19、いつもの直瀑手前までやってきた。まあいつもといいつつ三回目だが。前回と違い勝手が分かっているので迷わず左の小滝を濡れながら突破。
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その先の小滝は左から越えて振り返る。
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次の滝を直登しようと思ったがザックずぶ濡れ不可避なので諦めて前回と同じく巻く。
沢に戻ってデカイ岩の所を越える。少し日が差したりもした。まあ結局大体は曇っていたのだが。
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その先、沢が一瞬だけ左右に分かれる部分の手前で二人の釣り師に出会う。一色触発の場面であるがこの先すぐ僕は斜面に登って行くのでこっそり先に行こうと様子を窺う必要もない。友好的な態度を装い近づいてもう沢から出るんで、と話しかけてみた。
釣り師コンビはどうやらここにくるのは初めてらしい。二人は矢板市バイクの持ち主ではないらしく、足跡見無かったんだよと不思議がっていた。"仲間から聞いたんだけど中倉山から林道まで30分で下れるってホント?"と聞かれる。いつも時間測ってないけど標高差的に30分って早くね?その方はすごい健脚ですね、頑張れば数十分、ゆるりといけば一時間くらいじゃないですかと答えたら女の子つれで30分らしいんだよとの返答。まあ世の中凄い女性は多々いるだろうがたぶんその話盛ってますよ。
二人は仁田元沢の源流まで行って傾斜緩いとこから稜線に上がり帰る予定らしい。ルートはそれでいいと思うけどのんびり釣りながら行って日没に間に合うのかな?とも思った。まあうまいこと時間合わせて釣りを切りあげるんだろう。
僕はそこらへんの斜面からトラバース道を・・と言ったらやっぱり道あるんだ!と誤解されたので獣道なのかなんなのかわからないので調べに行きますと答えた。ソロですごいね?学生さん?と言われたが、そこまで若く見られたのは初めてだ。ヘルメット被ってたからかな。
お気をつけてと分かれた。

二人と別れたちょっと先の河原で靴を履き替えて休憩。前回はもう少し先で沢靴から履き替えた気もするがまあいいか。
9:55、斜面を登ることにする。前回は安全にもう少し西の傾斜が緩いとこを利用したが今回はここを登って見ようと思う。とりあえずここを登ろうと考える人間もここがどこかわかる人間もまずいないと思うがこんなところ。出だしは軽い気持ちで行ける。
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しかしその先で左に折り返す辺りは灌木掴んでよじ登るパワー系に。まあ灌木あるから来てみたもののわりかし急だ。灌木もちょっと隙間があったりして軽く緊張する。
まあ慎重に行けば怪我しないだろうと左に折り返してから岩の脇にあるバンド状の地面を利用して登る。この一段がちょいと怖い。
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一段上の場所が安全地帯で前回西から安全に登ってきたところだ。どう考えても前回と同じルートの方が良かったな。つるっといった場合のリスクが違うと下を見る。
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何はともあれここまで来たら安全地帯。傾斜は急で足首や腱に来るが怪我することはない。鼻歌交じりでとはいかないが今日は体調も良く軽快に登って行く。
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登って行くはずだったのだが少し先で右前方の木々の隙間に黒い影を見つけた。
あれ?動いてるけど猿かな?
ちょっと遠いしカメラでズームして見てみるか・・・。
どう見ても熊です、本当にありがとうございました。
よく考えたら黒い猿(ゴリラやチンパンジー)は足尾の山奥にいるわけがなかった。
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まじかー・・・。クマモロは三回目だけど正面から見ちゃったのは初めてだな。というか向こうもこっちに気づいて様子窺ってないかこれ?
とりあえずカメラは邪魔になるので締まった。

距離は20mくらいか。もう向こうもこちらに気づいているし音たてて興奮させない方が良いだろう。熊鈴を消音モードにする。背中を向けて逃げると追い掛けてくるらしいからムーンウォークで離脱したいところだがここは急斜面なので失敗したら滑り落ちる。熊にあって怪我する人の半分くらいは熊に寄るダメージじゃなくてパニくって滑落とかだと思うんだよね。左の方に大岩が見えたのでその陰に入って穏便に事を済ませようとじりじりカニ歩きで左へ移動を開始した。

しかし平和裏に事を済ませようとする僕とは裏腹にあろうことか熊はこっちに猛ダッシュしてきた。やばい、ポケットのナッツ類に感づかれたか?!
というか熊速い!なんでここ急斜面なのに真っすぐダッシュしてこれるんだよ。ボルト超えてるわこれ。

一瞬で間を詰められこれは逃げれるわけねーわと腰だめにストックを構える。サイズ的には僕より小さいので長身の僕がストック突き出せば先制は出来るはずだ。それで驚いて逃げてくれればワンチャンあるなと瞬時に覚悟を決めるも流石に数m前まで熊が猛ダッシュしてくるとびびる。相手の顔も至近距離でよく分かった。犬には似てないなあ、熊はやっぱ熊かと下らないことが瞬間脳裏を掠めつつ、そういえば挨拶してなかったわと思いだしストックの間会いに入る直前で「こんにちわ!」と腹に力を入れて挨拶してみた。

すると熊は近づいてみたら僕が思いの外デカかったのか、不意打ちの挨拶に戦意を削がれたのか急旋回して右下方へと駆け下りて行った。まあ表情も「ぶっ殺す!」という鬼気迫ったものじゃなかったしね。「見慣れない奴が居るけどよく見えんし近くで脅してみよ!」と言った風に様子見交じりで走ってきた感じで。
熊は下りが苦手とか聞いたことあるけど嘘だな。相対的に苦手かもしれないが人間が逃げきれるスピードじゃない、そう観察しつつもう一度大きな声で挨拶して戻ってこないことを祈った。

危機は脱したがもう帰りたいなあ・・。とは思ったが沢の方へ熊が去ったので退路は断たれている。渋々僕は先へ進む事にした。
しかし目的のトラバース道はどこらへんだったか記憶から飛んでおりどれだったっけ?と時折現れる獣道に惑わされつつ上に進む事になる。
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10:12、1150m辺りで見覚えのある踏み跡を見つけた。これだこれ。目的の奴は。獣道にしてはやけに明確で。これを西へ辿るために今日はやってきた。早速ハプニングでやる気をそがれてしまったが。
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少し西へ行くとすぐ涸れ沢のザレを横切るが傾斜は緩いししっかりトラバースの踏み跡は続いている。
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ザレを横切った先もあからさまに明瞭な踏み跡が続き、やはりこれは人為的なものではないかと僕は疑念を深めた。先へ進む。
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仁田元沢が逆S字に曲がるとこの突き出ている尾根を乗り越す。この尾根を登って行っても良いのだが今日はもっと先へ行こう。
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傾斜は緩めでどこでも適当にトラバース出来るせいか踏み跡も行く筋に分かれて。まあこれでいいかと選んでトラバースしていく。地形図の仁田元沢左岸崖マークの上あたりをしゃくしゃくと北西へ方角を変えトラバースしていく。
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さて、次の支沢っぽいとこの通過はできるのかと進んでいくと踏み跡は沢の緩い所へと導いてくれるようだ。
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沢から下流を見下す。トラバース道を通すならここが一番都合が良いだろうなと言った感じで。沢の向こうにも踏み跡が続いていた。
この支沢、恐らく仁田元沢との出会いは瀑泉さん達の記事で"右から2つ目の支沢滝が入って・・・"となっているやつだと思う。僕は仁田元沢を先に進んだことないから確証はないのだが写真を見るとあの滝を登ってこの支沢を上がる人はほとんどいないんじゃないかな。
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そして支沢の奥を見るとなんだか大きそうな滝が見える。水量は少ない沢だけど一応近づいて観察して見るか。僕は滝下から観察することにした。10:19。
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続く