雨量観測計らしき亡骸を見送った後、トラバース気味に尾根の右端を歩き、沢へ下りる場所を探す。
適当に歩いて行くといつも下りる支尾根にぶつかった。
ミツバがいたがやはりあまり元気がない。
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少し急な支尾根を沢へと下降していくと対岸のミツバは綺麗に見えた。でもあの辺り崖だし立ち寄らないんだよな。今日はミツバと縁のない日なのか。
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田母沢奥二俣左俣へと降り立つ。10:49。
去年と同じ場所。去年は後輩達と来て調子が悪かったのでここでゆっくりした。4月はソロが少なかった反動でここのところは一人で好き勝手に歩くことにしている。
誰かと歩いた方が安心はできるのだが、自分のペースで好きなように好きな場所へきまぐれで歩く。この自由さは捨てがたい。まあ月末辺りからまた人と歩く予定があるのだが。
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時間もないし疲れもないのでそのまま歩いて行く。テント適地に異常なし。
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たまには右の尾根へ移動して登ろうかなとも思ったのだが尾根の左でミツバツツジが咲いているので寄って見る。ようやく本気だしてきたか?
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しかしそれ以上ミツバツツジの追撃は無かった。
"ミツバの本気はその程度か?"
その隙をついてシロヤシオの反撃。主役の座は渡さないと言うことか。
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とはいえさっきまでいた尾根と比べるとシロヤシオの攻勢もいまいち。
1270mくらいを越えると息切れしたのかツツジ空白地帯となり急な笹原を少し喘ぎつつ歩いて行く。
1320mを過ぎて尾根の左に寄って行くとミツバツツジがちょろちょろと。一面これくらい咲いていれば認めてやってもいいのだが。
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ぼちぼち咲いているツツジ達を横目に1400mくらいまで登っていくと尾根の向こうから男体山が頭を出した。
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こうして見ると別にミツバツツジの外れ年ってわけでもなさそうなのだが。今日は偶々標高が合わなかったのか?ミツバツツジ不遇の日。
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やがて1450mを越え傾斜が緩みのんびり歩けるようになると獣道も明瞭に。
ミツバは蕾となり始めた。短い出番だったね。
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ミツバ最後の意地、男体山をバックにといきたかったが木の枝に男体山が隠されてイマイチな構図。
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もうこの先は良いか。11:30をまわりそろそろ下山を視野に入れようと1510m辺りから尾根を北東へと移動し始める。
右の支尾根にある1615m地点あたりを目指すつもり。
支尾根を分ける沢の境が狭くなっている場所を見つけて渡る。
東の支尾根は針葉樹と広葉樹の混在する疎林だった。
この季節は晴れの日であれば明るい尾根だろう。
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尾根の右端を登っていく。地形図の通りこの辺り右側は崖っぽくて下りる気がしない。やはり1615m地点あたりまで行った方が良さそうだ。
電波が入りみー猫さんからのメールあり。某藪尾根の1400m辺りに居ると言う。これは今日は会えないな。一時間くらい早くみー猫さんは下山完了だろう。一応もうすぐ下りに入りますと連絡を入れる。
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1590m辺りまできてそろそろトラバースして降りられそうな地形を探そうと思ったがどうもこれより上に行くと傾斜がきつく思えた。むしろ今いる場所から少し戻り気味にトラバースして沢へと下りる方が簡単そうだ。急な薄い笹原を降りて行く。
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急ではあるがやがて尾根形にのり一安心。笹は掴んで下りるには心もとないが滑った所で疎らに生える木に捕まればなんとかなるだろう。下るごとに傾斜は緩くなり安心。
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12:00、降下を始めてから10分ほどで沢沿いまで下りてきた。笹原にバイケイソウが潜む。
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田母沢奥二俣右俣1450m辺りの光景。地味すぎてここにわざわざ下りる人間は滅多にいないだろう。沢に水は流れていない。
でも思ったより落ち着いた場所で、時間があればゆっくりしたいと思った。
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さてどこで沢から離れてトラバースして尾根に乗るかが問題だ。がっつり登り返して尾根に乗ろうと言うつもりはない。
とりあえず沢底を歩いて様子を見る。
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地形図のクラックだろうか。土砂が崩れ落ちてきている。
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左岸を歩いて行こうと思ったのだが左岸側はすぐに狭くなった。沢底歩くのも結構面倒なので右岸に移って見る。こちらは鹿道があり安全に沢沿い歩きができそうだ。
道を作りしもの、鹿が飛び出して行った。
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この雰囲気、好きだな。
木陰の火山岩の溜まり場は苔むしていた。
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半分行き当たりばったりで沢沿いに下りて行く。左岸側はちょくちょく崩れており右岸に渡って正解だったなと思う。
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しかし右岸側も狭くなったので水のないゴーロの沢底に下りた。すぐに水があったらナメなのかなあという渓相に。空も少し晴れてきたような気がする。
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現在地は地形図を見てみると1320mにある滝の上部に当たるらしい。ついでなので滝の落ち口まで行ってみることにする。
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落ち口からそっと下を覗きこむ。うん、落ちたら死ぬな。写真ではいまいち高度感が無いがそっと僕は身をひるがえした。12:19。
上から見たのでは滝の規模は分からなかったのだが帰ってから調べてみると雪田爺さんが下から見に行かれた記事があった。田母沢右俣滝(二つ目上の滝マーク)とかかれていたからこの滝のことだろう。
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水が流れていれば結構迫力ありそうなのにな。まあその場合落ち口からのんびり見下せないわけだが。
一先ず田母沢右俣探検も一区切りついたので尾根へと登りあげることにした。
超適当にしばらく急な笹壁をよじ登って行くと折り良くトラバースしていく鹿道を見つけたのでこれ幸いと辿っていく。どこか草臥れたミツバも現れたりして。
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雲は相変わらず多いが結構明るくなってきた。シロヤシオの森でこれなら良かったのに。
誰も来ない鹿道、誰も来なくてもいい鹿道。
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支尾根にミツバが大量に見えたので近寄って見るが蕾ばかり。つくづく間の悪い奴だ。
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やる気のない奴らを放置して鹿道に戻る。じわりと水が湧いている場所があったり脇役のツツジがたまにいたりと悪くない場所だ。
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時折大量に蕾があるミツバ地帯を通り抜けてゆるりと歩いて行くと思ったより早く藪尾根のセンターに乗った。雨量観測計かなにかがある辺りだ。
ここまでくれば15時までに下山は余裕だな。一休みするか、と思ったら何やら大きな声がした。もしかして熊?!と身をこわばらせるとガサリと登ってくる影一つ。何のことはない、みー猫さんであった。
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続く