2018.10.21(日)
大峠 -雁ヶ腹摺山 -大樺ノ頭 -大樺ノ頭北尾根 -林道真木小金沢線 -林道小金沢山線
-石楠花沢 -牛奥ノ雁ヶ腹摺山 -小金沢山 -牛奥ノ雁ヶ腹摺山 -シャクナギのタル
-黒岳 -白谷ノ丸 -白谷小丸 -白谷ノ丸 -黒岳 -大峠

どうしようもない地味沢にも魅力はある


昨年奥秩父の石楠花沢を遡行したのだが下準備として情報を集めている際、大菩薩辺りにも石楠花沢があるらしい事を知った。まあシャクナギのタル下から流れ出るから石楠花沢みたいなノリで俗称な雰囲気もしたがナゲ道を歩むものとしては捨て置けない。
とはいえ唯一の石楠花沢について詳細が書かれている記録を見るにこの沢とんでもなく地味である。バラクラ沢左俣より地味かもしれない。
そんなわけでいつかは行く、いつかは行くが今ではない。みたいな感じで先送りしていたのだが3月にたそがれさんが雁ヶ腹摺山、5月にぷなじろうさんが石丸峠から小金沢連嶺を歩いた記事をそれぞれ拝見し富士見にちょうどいいスポットが周辺にあることを知った。
雁ヶ腹摺山と小金沢連嶺、一度に歩くのであれば通常公共交通機関を利用してロングハイクするか大峠からピストンといった感じなのであろうがここで石楠花沢の存在が活きてくる。
雁ヶ腹摺山から大樺ノ頭へ歩き大樺ノ頭北尾根-林道-石楠花沢と歩けば牛奥ノ雁ヶ腹摺山の南の鞍部、シャクナギのタルへと至りつまらないピストンは最低限に留められるのだ。
やるじゃん、石楠花沢。
なお地形図を眺めていたら林道をさらに奥へ進み小金沢山の東尾根を登ればピストンは更に減らせるのではないか?ということに気付きかけたが見なかったことにした。
想定ルートの基幹部位はこうなる。
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こうしてルートは決まったものの初夏となり暑くなるとやる気は出ず、そのうちヘルニアにもなり棚上げされたままであった。それでも今年中に片付けたいなあと思ってはいた。
そうこうするうちに秋も深まり、そういえば過去2回秋に大菩薩周辺へ富士見に行くも2回とも肝心の富士山が雲隠れしていた記憶を思い出した。
三度目の正直、あると思います。
微妙な天気続きの今年の秋にしては久々快晴な日曜日、富士山周辺も雲が無さそうなことを確認すると僕は山梨へ旅立つことにした。

10/21、前日の疲れは大してないと自己暗示しつつ3時に起きる。眠い。
しかしこの日を逃すとまた山梨へ行く気持ちを盛り上げるのは大変なので(帰りの中央道が混むから)渋々3時20分くらいに家を出た。
3時間くらいかかるかなあと思っていたのだが圏央道のおかげてお金を犠牲にすいすいと中央道へ進み大月ICまで素早くたどりつく。コンビニで買いだしし朝食を取っても5時くらいで。6時過ぎにつけばいいかなあと考えていたのだがもしや夜明けの富士山が見れるのでは?と欲も出てきた。
まだ暗い林道を大峠へ進んでいくと次第に舗装路にポコポコ穴が見受けられるように。ちょっと慎重に運転して行くと夜が白み始めて。
5時半くらいに大峠へつくと駐車場が埋まっていた。こんなに人気の登山口なのか?と思ったら三脚・カメラを構える方々が4人ほど。
どうも大峠も富士見にいい場所のようだ。
路肩に3台ぐらい停まっているので僕も仲間入りすることで事なきを得た。
車載の温度計は4℃。寒い。

準備をして歩きだす・・・前に折角なので僕も朝の富士見と洒落こむ事にする。
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ここから見る富士山は末広がりで平べったい感じ。
今日の目的の一つ、雲のない富士見を既にして果たしてしまった。
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カメラマン達はまだ三脚構えてるしここから朝焼けに染まった富士山でも見れるのかなあと思ったがここにじっとしていると時間がもったいないので僕は登山口へ向かう。
5:48、雁ヶ腹摺山へ歩きだす。とりあえず登山道である。

昨日の雨で少しぬかるんだ登山道を行く。
南東へと回り込む道を行くと木々の隙間から赤く染まった山と富士山が垣間見。
これは大峠でもう少しシャッターチャンス待った方が良かったか?でも今日はロングのため時間は無駄にできないのだ。
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カエデの紅葉にはまだ早いかなあと周辺を観察しつつ歩いて行く。登山道がトラバースをやめて標高を上げるようになると尾根の東から朝日が差して眩しい。
朝日に照らされたからかタイミングが良かったのか、色づきのいいカエデもある。
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登山道だからとろくに見ていなかったスマホアプリを見てみるとGPSを測位していなかった。どうせ迷う事もないからいいけど軌跡が取れていないのは嫌だなあ。
そんなことを思いつつ歩いて行くとでかい岩が散見され少し傾斜が増すも歩きやすい。
1760mくらいで林を抜けて南の展望が広がる。富士山ドーン、と言った感じ。
でも拡大しすぎると品がないな。プレビュー記事の構図の方が好きだ。
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ツツジが良い色している笹藪間の道を登っていくと、傾斜が増したせいか随所で富士山が良く見える。
似たような写真ばかり撮ってこれはお蔵入りだなとPCの肥しを増やしていく。
僕が撮影すると青空成分が多くなるのは仕様だ。カメラを構えた人が2人程いたり既に下りてくる人もいたり。カメラマンが多い山だ。
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景色が良いから足も軽いなと標高を上げると1800m上の紅葉が良い。この辺りのカエデは日当たりもいいし台風の影響もなかったのか。
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紅葉、富士見に面白い形の岩もあったりと楽しく歩いているとやがて平坦な場所に出た。ススキの原の間を一本道が山頂へと向かう。地面がしゃくぅと鳴くのでナゲかと思ったら霜柱。もう山はそんな季節か。
ススキの原に朝日が差す。秋だ。
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山頂へ向かうと先客が2人ほど。もう下るようだが。
もうすっかり日が出てしまったからなのだろうか。富士山のパックが雲ひとつない青空だと逆に味がないとか?僕はと言えば近距離から雲のない富士山を眺めたのはほとんど記憶がないので大満足であった。
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ススキの原や富士山を撮影するため足が進まなくなったがとりあえず山頂踏むかと最後は緩く登りあげ6:34、雁ヶ腹摺山。ちょうど誰もいなくなった。
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山頂で少し腰を下ろそうかと思ったが500円札に描かれていたスポットだの標識があったり、南を見るとどうしても富士山が目に入るので気持ちが落ち着かない。
結局行く人、来る人を見下しつつ富士山を眺めている始末だ。
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まずい、ここにいては同じような富士山の写真ばかり量産してしまう。
怖くなった僕は滞在5分で山頂を後にした。
北東の大樺ノ頭へと向かう。破線も書かれていないが登山道で標識あり。
はじめ針葉樹林を下るが何処でも歩ける広い尾根で踏み跡は少し不鮮明。まあ真面目に踏み跡を辿ることもできるが。
ぶらぶらと歩いて行くと1820mくらいからカラマツの植林帯となる。下っていくと鞍部までカラマツが続くが紅葉にはまだ少し早く淡い黄色。
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一つ小ピークを越えて鞍部へと下る。
針葉樹林と広葉樹林が入れ替わるが広葉樹の部分は雰囲気が良い。
遠くに見えるのは海なのだろうか。
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鞍部から緩くアップダウンし7:19、大樺ノ頭。
登山道なのだが皆雁ヶ腹で富士山を見て満足するのかこちらに歩いて来るのは僕だけだった。三角点があるはずなのだが山頂奥の紅葉グラデーションに飛びつき撮影し忘れる痛恨のミス。
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三角点の存在を忘れたまま僕は大樺ノ頭北尾根を下る。
ここも地形図に破線もないが登山道して整備されている。
山頂から針葉樹林を下っていくとやがて広葉樹林となるが大きなカエデが多い。紅葉にはまだ早く青々とした木ばかりなのだが、これらが色づいたらさぞ綺麗だろうなと。でも北尾根で陽射しが上手くささないから撮影には適さないだろうか。
それでも心地よい地味尾根で気分良く下りて行く。
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1600mからしばらく続く平坦な区間は薄い下草の中を一本道が通り好ましい。
1591m地点辺りでは右サイドカラマツの植林になるがまだ色づく途中だ。
ここより下ではカエデもほぼ色づいていなかった。
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1520m辺りまで下りて行くと左と正面に道が分かれたのではて?と思っていると標識があった。左のトラバース道で大峠に戻れるようだ。直進すると林道へ行けるとその先に案内図があったのでそちらへ進む。
落ち葉に埋もれた木階段があるし人通りは見えないがちゃんと登山道だ。
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地形図の等高線が狭いところをどう下りて行くのかと思っていると斜面を斜めトラバースで下りて行くように道が作られている。まあ確かに真っすぐは下りづらい角度である。大人しく道を下りて行くがたまに倒木で塞がれていたり。
最後に尾根を離れて南へトラバースしていくのだが途中結構狭い個所で倒木があったのは嫌らしかった。
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8:16、大峠方面からの沢沿い遊歩道に合流。HIDEJIさんならぬシオジの森というのはどの辺りだろう。すぐに林道真木小金沢線へ下りたち一休み。
登山口(大峠)が1560m、雁ヶ腹摺山が1874m、現在地1280mくらい。
標高差300mを登ったのに500mも下って標高借金してしまった。悲しい。
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風もなく暑くなったので合羽は脱いでフリースとシャツだけに。おにぎり齧って10分休んでから林道を歩いて行く。
ぬかるみに轍があったので車が通るようだが静かなものだ。
石小屋沢を渡る橋の手前に工事関係者車が二台。橋にシートが被っておりもしかして通れないのかと焦ったが路面は普通に歩けた。
橋を渡ってからぶらぶらあるいて林道が西に折れた辺りで稜線を見やるが綺麗な紅葉とはほど遠い。というか赤やオレンジがほぼない。この辺り日光・足尾と比較しては悔しい思いをすることになるか。
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1342m地点近くで林道小金沢山線に接続しそちらへ歩いて行く。
車はゲートがあり入れないようだ。
石楠花沢の堰堤ゾーン対岸を見るとやはりこの辺り植林が目立つ。
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8:55、林道小金沢山線が石楠花沢を横切る場所に着いた。
どこに沢があるのかと言う話だが、写真左の壁が石楠花沢ラスト堰堤である。
こんな寸断されていては上流も下流もろくな水流が無さそうではあるが。知っていないとこの上に真っ当な沢があるとは思うまい。
なお石楠花沢(たぶん俗称)はマミエ沢の支流だ。
地形図でマシュ沢とあるのがマミエ沢であり、葛野川小金沢985m二俣の右が大菩薩沢、左がマミエ沢と呼ぶらしい。
1250m二俣から右、小金沢山の方へ伸びているのがマミエ沢本流で左が石楠花沢となる。
堰堤群を下っていくとどこかに25m大滝があるらしいのだが沢素人が行く雰囲気ではないので僕の石楠花沢は今回の堰堤上の地味ゾーンということにしておく。
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堰堤を左から巻き石楠花沢の沢底へ下りて行く。
沢靴は持ってきたが絶対に水は冷たい。しょぼ沢だし登山靴で濡れないように行こうかなとしばらく思案したのだが奥秩父っぽい苔むした沢で濡れずに行こうとするとルート取りが面倒に思えたので諦めて沢安全靴+ネオプレンソックスに履き替えた。
9:10、入渓。
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石楠花沢、その名に恥じぬ地味な雰囲気を醸し出している。初っ端からゴーロが続くのだが急ではないもののずっと傾斜があり標高を着実に上げて行くのが不思議な感覚だ。
ひょいひょいと直登できね小滝しかないのだが超絶ぬめっている。これは靴の選択を間違えた。フエルトでも滑るのだろうがゴム底だと完全に無力。しっかり足をおけない場合は全部巻く羽目になった。
地味沢にしては微妙に水量があり谷が広い。
大体水流が二つに分かれており序盤は何条かに分かれた小滝が出てきて多少の見せ場は演出している。
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ヌメ小滝でもそれがある間は多少楽しめるものの大部分は苔むした地味ゴーロがひたすら続く。まあ沢屋はこないこと確実である。
どこの層に需要があるかと言うと難しい。
地味沢愛好家の僕でもこれで標高差500mを上げて行くのは修行ではないかと思い始めている。
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ナメゾーンが現れておっ、と思ったら倒木の枝に遮られて下から良いアングルで撮影できずなんて残念な沢なんだと思っていると9:41、1480mくらいで棚状階段小滝に出会う。悲しいかな入渓後石楠花沢最大の見せ場がこれだ。
小足沢は良い沢だったんだなあと思い返している。
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その上の小滝をぬめっているので適当に巻くとついには2-3mレベルの小滝さえなくなってしまった。
そのくせ地味に傾斜のある単調なゴーロを歩き続けると微妙に疲れが。北西の沢で陽射しもなく地味さに拍車をかける。
左岸の尾根に逃げようかなとも思い始めた。
そして面倒になり沢から出て二つに分かれている流れの中間や左岸側を適当に歩くようになった。
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そんな石楠花沢への興味を失いかけていた僕であったが1540mあたりから傾斜は緩くなり谷間に光が差すと雰囲気が一変した。色づきには早いがカエデが沢沿いに生えており苔むして陰鬱な雰囲気に思えた沢も日本の原風景と言った趣に。地味でしょぼい水流も穏やかなせせらぎと言いかえればなんだかいける気がしてきた。
足取りも軽くなる。
極上のテン場も見つけたりして。10時くらい。
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その後すぐに安定の薄暗い地味沢に戻ってしまったのだが希望を捨てずに歩いて行くと5分ほどで左岸側が明るくなる。
1580mくらいで沢から左岸に上がって見るとなんとも雰囲気のいい場所だ。
紅葉にはまだ早いのだが明るい広葉樹林が広がり、少しゆっくりしていきたくなった。しばし散策する。
年に数人くるかも怪しい地味沢の奥地にこんな場所があったとは。ここは秋に来て正解だった。
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左岸の支尾根、上の方に色づきのいいカエデが繁茂しているのが目に入り、もう地味尾根歩きに切り替えたくなってきた。
しかしここまで石楠花沢に付き合っておきながらここで切り上げるのもシャクなので未練がましくも沢沿いをあるいて行くことにする。
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またしても地味ゾーンに入る石楠花沢であったが10:28、1650m辺りで沢が西を向き日が差すようになるとまたいい雰囲気になる。
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紅葉のベストタイミングではないが痛んでいる葉もないしみー猫さんの言うグラデーションを楽しむと思えば。
沢沿いの広葉樹林をゆるゆると歩いて行く。
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黄色やオレンジの木々を追っているとつい左岸の支尾根に歩いて行きたくなる。1680m辺りからは左岸に幾筋も支沢が分かれて油断するとちらへ歩いて行きそうになる。水量がないので分かるのだが。細かい沢筋をいくつも横断しなんともわかりづらい地形だ。
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1710m二俣で水量の多い左へ行くが地形図とコンパスを見てどうもここは右へいかないシャクナギのタルにつかないなと中間尾根を越えて右支流に移る。
沢としてはこちらの方が多少面白いそうに見えたがどうせすぐ水が消えるだろう。
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シャクナギのタル方面へ至る流れも既にしていつ水が消えてもおかしくない。まあ沢安全靴は水陸両用なのでそのまま行く。
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1750mくらいで左に支流を分けるといよいよ水がすくなくなり、そこから5分で水たまりとなった。ここが石楠花沢の水源か。鹿の水飲み場といった雰囲気。
もう少し下の水なら濾過しておいしく飲めると思うがここでは汲みたくない。まあ水は4L背負ってきたので今日は要らない。11:00。
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石楠花沢の最後を見届けたので靴を履きかえて昼休みとする。稜線登山道に出るときっと人が多く気が休まらないだろう。静かな地味沢歩きの余韻に浸りたかった。
笹原を避けて倒木に腰かけると一息ついた。
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続く