9:48、細尾峠方面から延びている林道の終点に降り立った。
するとそこには上半身裸の30-40代と60過ぎくらいの二人組の男性が車の横に立っており妙なところから現れた僕に驚いている。
まあ僕も半裸さんがいて驚いたが。
年配の人は話好きらしく声をかけてきた。
向こうは草加の方から釣りに来たものの半裸さんが眠くてそこの地面に横になって仮眠していたらしい。
あやうく僕は眠れる半裸さんの上に着地するところだったと言うわけだ。
ここに来るのは先月に続いて二回目だとか。
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変なところから現れた僕にどこから来たのか聞かれたので歩いてきたコースとこれから行く先を行くと中々凄いと感心される。
源流釣り人と藪屋で方向性は違う物の自然と戯れる者同士話が弾んだ。
年配の人がメインで話して半裸さんがそんなことねーっすよと少しやる気なげに突っ込み、またお前はと年輩の人が返すのがお決まりのパターンなようだ。
白砂山に行ったことあるかと聞かれてあると返すと、スルスの岩洞って知ってる?と聞かれる。普通は知らないのだが僕はあにねこさんの記事で見たことがあるので知っていた。
地形図で名前だけ見て興味があったらしい。アプローチ面倒だし泊まりで最後稜線まで藪漕ぎですよと答えると泊まりはなあ・・とお悩みの様子。基本日帰り釣行らしい。
基本釣りで沢に入る時はピストンのため稜線まで詰めることは滅多にないし簡単な懸垂下降程度はするが基本滝も巻きだとか。僕の道のないとこを適当に歩く話を聞いてよし、今度それやってみっかと半裸さんにいっては気のない返答をもらっていた。
その後山の中でポーポー?鳴いてる奴の正体はななとか鳩だったが別のポッポー言ってる奴の正体は分からないから知らないかと聞かれ、八尺様か鼠先輩じゃないですかねと答えるわけにもいかず分からないですねとか色々話しているうちに10:35になっていた。
うっかり50分経過。どうせ今日は尾根登り返して帰るだけだし今日は一日晴れだろうと言う慢心が時間の無駄遣いに繋がってしまった。
ところでこの先沢へ楽に下りる道ありますかね、と聞くとその先に踏み跡あるよと教えてもらい釣り人コンビとお別れした。
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教えてもらった通り踏み跡があったのでそれを辿り沢へ。
水が少ないがイワナはいるのだろうか。
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とりあえず簡単に渡渉し炭焼き窯跡を眺めつつ対岸の斜面に取りつく。
少し急だがストックがあればまあ登れる。5分ほどで尾根上に出た。
1575m地点の東尾根末端支尾根になる。長手沢右岸尾根と呼んでいい物かは迷うが。
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傾斜もゆるくなったのでぶらぶらと歩いて行く。5分も行かないうちにアカヤシオが出てきたが流石に痛みきっていた。
10:53、1330m辺りで南からの支尾根を合わせた。大して尾根が広がるわけでもなくむしろ狭い個所も出てきたり。
1350mを過ぎて瀕死のアカヤシオ達を眺めつつの歩きとなるが晴れているのでこれもまたよし。
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11:11、1410mを過ぎると見られるアカヤシオが急に増えてきた。
標高を上げるたびに状態は良くなるのでさっさと上に行くべきかもう少しこいつらを撮影するべきか迷う。必然と歩みが遅くなるが今日は一日晴れと信じている僕は特に気にしなかった。
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1470mを過ぎるとかなり状態が良くなって。
見栄えのする大木が一杯と言うわけではないが、この尾根アカヤシの株数自体は多い。
この辺りの尾根でアカヤシオがいる尾根といない尾根の違いは何なのだろうか。
一休み。
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1540mから南に派生する支尾根へちょっと立ち寄る。この辺りもまたアカヤシオで溢れていた。
まあこの先もアカヤシオがいるのでわざわざ立ち寄る必要もないのだがどうしても目先にいる存在は捨て置けない。どうせ誰も見に来ないし。
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支尾根から戻り西へ登っていく。
1530mを越えると急に蕾が目立ちだす。
こうして見ると盛りのアカヤシオはわりと狭い範囲で。
やはり他人の記録を見てからでは遅く、自分で予測して出かけるしかないのだ。
そう思っていると蕾が減ったりして相変わらず気まぐれ。
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1570mで手焼沢左岸尾根を合わせて1575m地点へと歩いて行く。
結局ここに至るまでずっとアカシヤオは断続的にいた。残念なのは序盤の登山道脇でもっと見応えがある奴らを見すぎてしまったことだ。地味尾根補正を加えてもどうしても見劣りが。この尾根単体で歩いていたらきっと満足したのに。
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12:02、1575m地点あたり。雲が増えてきたがまだ晴れ間が見える。
いやそもそも今日は一日晴れだったのでは?天気予報を見ると午後は曇りに変わっていた。酷い裏切りだ。
とはいえ疲れたしちょうどいいロケーションなので腰をおろして昼食をとった。
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さてこの先どうするかな。さっさと帰るなら茶ノ木平方面か中禅寺湖スカイライン方面に歩いていけばいいのだが。
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1575mから南西に下りて行く急斜面もアカヤシオが群れていそうで気になる。
目の前のアカヤシオ達はどこまで生息しているのだろう。
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少し悩んだがたそがれさんも歩かれたという手焼沢左岸尾根が気になるので少し立ち寄ることにした。帰る方向とは逆方向。つまり完全な寄り道であり、普通であればピストンで登り返すことになるのだがそこは地形図で良からぬことを思いついた。
南西尾根のアカヤシオを観察し名残惜しく思いつつも南へ歩いて行った。12:26。
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手焼沢左岸尾根は緩い傾斜で標高を下げて行く。最初はアカヤシオがいるものの大したことないなと思っていたが、そのうちそこかしこのアカヤシオの花密度が増してきてこれは中々・・・と考えを改めた。曇ってきたので見栄えがしないのが残念。
まあ高さや生息密度がばらばらなので写真写りよく撮るのは難しかったりする。こういうのはアカヤシオの中を歩いている時が一番気分が良い。
逆に写真的に見応えある大木が多かった序盤の登山道脇の奴らは作為的に肥料もらったりしてたんじゃないかと邪推もしてしまう。
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まあ実際目で見て歩いている分には十分華やかだし野生らしい好き勝手さも好ましいからと気分良く下りて行く。下りすぎると帰るのが面倒になるのだが。
こうして花の回廊を歩いて行くと地味尾根が地味じゃない。年中これでもいいなんて気がしなくもない。
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なんだかんだ結構巨木も居たし楽しんだなと1450mくらいまで下って12:52。
ここから登り返して山の反対側に帰るわけだがピストンで戻るのはつまらない。
僕は1450mのラインを北北西へトラバースして行くことにした。
まあ適当に行けるんじゃないか的な空気はある。わざわざ実行する馬鹿はあまりいないだろうが。
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ぶらぶらとトラバースを開始。
支尾根に良い感じでアカヤシオ。やはり足を止められた。
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少し斜面の傾斜がきつくなったので鹿道を辿って歩いていると薙ぎが現れた。
結構な角度で落差がある。幸いにして鹿道部分だけは水平なので利用して突破。
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鹿道が無いと大分面倒な傾斜が続いて行く。
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またもや谷間に遮られるが先達(鹿)の踏み跡に助けられる。
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アカヤシオ咲く支尾根を横切って。
支尾根の上も下もアカヤシオが見え隠れして心惹かれるが心頭滅却してトラバースをづつけ・・・ようとして少し下った。
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少し標高を下げてトラバースを再開するとかなり傾斜が緩くなって。地形図的に1575m地点南西支尾根の南東側の谷間に近辺1420mくらいにいる。
これはこのまま谷間に下りてから少し下り、二俣から西にある尾根に取りついてスカイラインにでるのも面白いのではないだろうか。誰もやらなそうだから。僕は谷間に下りて行った。
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ほぼ水の流れていない沢形に辿りつき、少し下ると二俣に行きつく。
ここまでくると多少水量があり、下流は滝でもありそうだ。手焼沢の右俣を詰めた先になるのだがどうやら手焼沢・長手沢連続遡行する人間はここを通過するようだ。手焼沢、本来は欅沢らしいが欅がこの辺りに生えているのかは知らない。
13:22。だらだらと10分休憩。
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大して水もないし河原歩きで沢を詰めてもいいのだが今日の目的はアカヤシオ。右岸の尾根に登りあげることにした。
急だし落ち葉でグズグズだったりしたが少し気をつけて尾根上へ。
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早速アカヤオシが出てきたので色めきだったが散発的に数株居ただけでほとんど生息していなかった。岩っぽい細尾根的空気も最初の30秒だけであとはゆるりとした地味尾根。
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13:58、だらだらと歩いていたが尾根上に出てから20分足らずで中禅寺湖スカイラインに出てしまった。わざわざ歩く支尾根ではなかったなと言う印象。まあ道路に出るのに最後急斜面があるわけでもないし手焼沢だけ詰めて半月道で帰りたくなったらありかも知れない。
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ここから普通に帰るのであれば中禅寺湖スカイラインを北へ行けばいいのだが僕は南西へ行く。あえてね。
舗装路を歩きながらアカヤシオはいねがーと支尾根を探るが意外といないもので。
気付けば辺りは雲に覆われていた。
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14:14、中禅寺湖展望台。
裏手にアカヤシオが一株。横でカメラを構えたおじさんにアカヤシオ余り咲いてないですねと言われる。場所が悪いだけですとは言わなかった。
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曇って大して展望のない展望台。
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さてここからどう帰るかだが展望台の西の端から北へと中禅寺湖へ延びている尾根を歩く。あまり歩く人間がいなさそうだからだ。
幼子を連れた親子ハイカーが居たのでかわして姿が見えなくなってから地味尾根入りする。まだこちらの道に踏み入れるには早すぎるだろう。14:21。
下りはじめてすぐに黒ホースがどこから繋がっているのか知らないが延びてきており人の手が入っていたかと少しがっかり。
まあそれならそれで安心かと歩きやすい藪のない地味尾根をシャクシャクと下りて行く。
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調子良く下って行き1440mの支尾根分岐までやってきた。左の棒が傾斜が緩いけど遠回りになるから右の支尾根を選ぶ。
何事もなく今日はこれで終わりかな、と思っているとなにやら見慣れたイキモノがしゃくぅと飛び出してきた。藪の番人、シャクナゲさんである。ここにきて何の用だろうか。
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大体僕の登山のオチを掻っ攫いに出てくるのがナゲ達なのだが今更出てきたところでなあ。後100mちょっと下れば遊歩道だし。
ちらほらとアカヤシオもおり、アカヤシオをバックに撮影してほしいのだろうか。
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アカヤシオじゃなくて主役は自分だと言わんばかりに自己主張してくる。
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しかし曇りとはいえ色合い的にナゲ達は劣勢である。
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どうするのかと思っていたらアカヤシオが消えたのをいいことにシャクナゲートを繰り出してきた。
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それでいてナゲ達自身の花はほとんど咲いていない。悪いイキモノもいたものである。
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まあそんなこんなで気付けばすっかりナゲ藪に捉えられていたのだが、隙が多いのがアズナゲさんである。適当に隙間を見つけて下りて行った。
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支尾根末端はどうも岩っぽいので手前で右側へとナゲも利用しつつ下りる。
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15:04、遊歩道に出て支尾根末端を見上げる。少し先でナゲ達が巣食っているとはとても思えない。よくここを通過しているのだが気付かなかった。
まあ中禅寺湖南岸はどこだってナゲ達が巣食っていると言う事なんだろう。水が合うのかもしれない。
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ガスの隙間から青空も見える中禅寺湖湖畔をゆるりと歩いて。
15:29に駐車地着。アカヤシオを堪能したがやはり最後はナゲ達に一杯喰わされた一日だった。

今回の軌跡
この地図の作成にあたっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。(承認番号 平24情使、第26号)
無題
登山道脇というのは気に入らなかったが明智第二トンネルからすぐ辿りつける辺りにいたアカヤシオは中名見応えがあった。その後の篭石先辺りまでは登山道脇でいいやつらが見られるので野良ヤシオにこだわりが無ければこいつらだけで満足できるだろう。
長手沢右岸尾根もアカヤシオが断続的にいたが同じ地味尾根でも手焼沢左岸尾根の方がアカヤシオ花は見応えがあった気がする。まあ記録をまとめている今となっては二か月前なので記憶も大分薄れているのだが。
思いつきで歩いた周回であったが最後にナゲ達とも触れあえたし中々悪くない歩きになった。来年もこの辺りを歩きたいところだが結構歩いている山域であるし次はどうしようかなと考えてしまう。まあ来年のことは来年考えればいいだろう。
問題は今年の梅雨長引きすぎ問題であって、結局僕は6/16を最後に一カ月以上山へ行かなかった。仕事が忙しく気力もないのに天気の悪い山へ行く気にもなれず。ようやく昨日年休使って旅に出たところだ。まあ記録をまとめるのもさぼっていたので結局後五つ記録をまとめないとリアルタイムに追いつけないのだが。ようやく気力が回復したのでまとめられるだけまとめて行きたい。