2019.9.1(日) 同行者:きたっちさん
ワイルドフィールズおじか近くの路肩  -林道 -尾ヶ倉沢右岸の林道 -尾ヶ倉沢  -15m大滝 -塩那道路
-新鹿又岳(1846m) -鹿又岳 -瓢箪峠 -白滝沢左俣右沢 -林道 -ワイルドフィールズおじか近くの路肩

尾ヶ倉沢の詰めは果たして?

塩那道路に一度は行ってみたかった。ついでに中間地点にある鹿又岳も。勿論無雪期に。
塩那道路の両端どちらかから歩いて行けば時間はかかるが行けるし、藪山愛好家は日留賀岳から行く人も多い。しかしどちらもありきたりでつまんねーなと思っていた。廃道マニアは白滝沢あたりの廃ブル道から行くらしいが当然それもなし。雪田爺さんが大佐飛山から瓢箪峠へ出た記録は読んだことがあるが日帰りのレベルを越えたとんでもない歩きだった。
ごく普通に日帰りしようとなると横川からになるだろう。桃ノ木峠から日留賀岳まで藪を漕いでから塩那道路に出るのであれば許された感もあるがこの辺りの山域をあちこち歩かれているYoshiさんをして"これまで歩いた中で最強最悪。荒海山の藪が優しく思える"と評されている。やめた方が良さそうだ。
ではどうするかと地形図を見ているとやっぱ沢利用かなという考えに至る。鹿又岳南西のヘアピンカーブの辺りにダイレクトで上がれそうな沢、尾ヶ倉沢はどうだろうか。
調べてみるとこの地味沢、地味かつ遡行を終えた後帰る手段が無いせいで沢屋に見向きもされていないようだが一つだけ遡行記録が見つかった。詳細は省かれているが15m大滝の高巻き以外は悪い所はないようだ。その記録では塩那道路に上がらず最後は藪を漕いで日留賀岳との稜線に出たようだが。彼らは詰め間違えたので実際は不明であるが地形図を眺める限り最後にこの沢形を詰めればワンチャン鹿又岳への日帰り最短ルートが見つかるのでは?という構想が僕の中で完成する。鹿又岳を登った帰りは瓢箪峠からブル道・・・ではなく雪田爺さんが男鹿岳からの帰りに使用されたらしい白滝沢左俣右沢を下れば早そうだ。周回ルート完成。

それから2年ほど月日が流れた。構想は完成したものの塩那道路まで何時間かかるか分からないしそもそも大滝を突破できるかも不明、そしてあまりにも山奥過ぎて一人で突っ込むにはリスクが高すぎる。そういった考えが二の足を踏ませていた。
そんなわけで先延ばしにし続けてきたのだが先日裏那須藪開きの際にきたっちさんに構想を話すとかなり食い付きが良くそのうち行きますかと言う話になった。
そのうちと言いつつ時期は決めていなかったのだがお盆にきたっちさんから打診が。しかし8月では暑すぎるのではないか?と思い8月末に別の場所に泊まりで行きませんかとこれはこれで一人で行くのは躊躇われる場所を提案、承諾を得た。

そして迎えた8月末。土曜日は雨、日曜は曇り時々晴れ。8月は激暑と思っていたが先週の表那須は寒いくらいだった。これなら男鹿山塊だか大佐飛山地だかに所属する鹿又岳も涼しいのでは?との発想に至り一週回って元々の計画だった横川から尾ヶ倉沢遡行し塩那道路へ出て鹿又岳プランを実行に移す気になった。きたっちさんのOKもでる。
普段はヘッデン歩きはしない僕であるが今回ばかりは何時間かかるか全く読めないので余裕を持って4時過ぎに歩きだすことにした。

9/1、横川のパーキングに3時くらいに到着。待ち合わせは四時なので仮眠する。昨夜興奮してあんまり眠れなかったのだ。
四時前に起きだすと隣にきたっちさんが停まっていた。
僕のレガシィに乗り合わせてワイルドフィールズおじか方面へ。昔の記録だとジョブズおじかと書かれていたりするが名前が変わったのだろうか。
林道路肩にはまあ当然と言うべきか誰も停めていなかったが端に停める。
準備をして歩きだす。4:21。
ヘッデンで照らす。当たり前だが真っ暗。
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ワイルドフィールズおじかは繁盛しているらしく敷地内の駐車場は満杯だった。
宿泊客を起こさないように敷地内の林道を通過する。
暗い林道を熊鈴鳴らしながら歩いて行く。一人なら熊におびえて泣いているところだ。
きたっちさんが少し先に光る目を発見。ホイッスルで林道横斜面に逃げて行った。鹿だと思いたい。

5:02、3km少々歩いて尾ヶ倉沢右岸林道入口に着いた。残雪期に手前を三回くらい通過しているはずの
きたっちさんだがこの奥に林道があるのは気付かなかったらしい。
入口からしばらくは松木沢の廃林道の酷いとこ並みに崩壊していたがやがて普通に歩ける林道となる。
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入口から700m程歩いて5:17、林道の先が崩壊していた。地形図の実線もここで終わりかと河原に下りた。一休みして沢装備にチェンジ。
沢に足を入れると水がかなり冷たい。まだ下流なのに。というかまだ8月なのに。どういうことか。
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まあ水の冷たさはさておき5:32、遡行開始。
林道を歩いていた時はナメ床が気持ちよさそうな沢だなと思っていたのだが入渓地点まで来ると悲しいからゴーロ続きかつ倒木一杯でいきなり面倒。
少し先で右岸にまだ林道っぽいのがあることに気付きあれっとなる。
地形図GPSよくみたらまだ林道が続いていた。崩壊地を越せば先に進めたらしい。
時間短縮を狙って林道に戻り沢装備のまま歩いて行く。
追加で10分ほど林道を歩くとちょうど地形図実線が切れる辺りで道型も消滅。適当に沢へと下りた。
5:47。
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再度下り立った尾ヶ倉沢はゴーロというか巨岩が転がり小滝が続く。水は冷たく澄んでいる。ちなみに禁漁区。水は冷たい。
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簡略化された唯一の遡行記録ではそのうち巨岩の裏に落ちる5m滝があるんだったよなあと意識しながら歩いて行く。
水が冷たいのと時間短縮のためかあまり水に入らず端や岩の上をたったかと進むきたっちさん。
ようやく現れた苔のナメ床を後ろから歩こうとする僕。
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でかい岩が重なり苔むしている。
淡々と沢床を歩いて行くことはできず難しくはないがわりと面倒な沢である。
小さく巻いたり岩をよじ登ったりする場面がちょくちょく出てくる。
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1100m近く辺りで3mくらいの滝の奥に滝らしい滝がちら見。
左岸のガレを歩いて近づいて行く。
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きたっちさんの見立てでは4-5mの滝。
滝行に打ってつけかと思いきや釜は少し深そう。まあこの水温なら心臓麻痺もありうるが。
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瀑泉さんなら一息入れるところだが僕らは写真を取るとさっさと左岸のガレを登った。
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ガレから落ち口にトラバースして。
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5m滝の上でナメ小滝を越えると大岩の奥に水流が見える。
これが先人の記録で見た大岩か。
一旦下りた左岸のガレにもう一度登って大岩を見下しに。
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僕がびびって近づけていないのでしょぼい写真になったが岩に隠れた落差5mくらいの滝。
落ちないように片足幅のトラバースで落ち口へ。
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その後はしぱらくゴーロをだらだらと・・・と思ったがこの沢だらだら流れている所は多くなくてわりとちまちま標高を上げ続ける。1140m二俣は左俣へ。
ヌメると岩の小滝を幾度も越えて行く。
ヌメりと倒木が無ければもっと快適なのに。
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1230mくらいの左岸湧水地。
冷たい水かコンコンと湧き出ている。
この沢わりと湧き水があちこちで出ていた。道理で水が冷たいはずだ。
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滝らしい滝は滅多になくひたすらゴーロと小滝を跨いで越えて行く。
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1300mも近づいてきてそのうち核心の大滝かなあと思っていると1280mくらいで沢が右にカーブした奥にでかそうな滝が見えた。
近づいて見上げる15m大滝。尾ヶ倉沢大滝(仮)。直登は考えもしない。6:55。
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きたっちさんに滝下にたってもらい比較。
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瀑泉さんなら20分くらいは過ごされるのだろうが血気盛んな僕らは早く核心を突破したいので一つ見上げて高巻きに向かった。
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高巻きは大滝横の土斜面、ではなくさらに左のルンゼ。これで高さを稼いでからトラバースだ。
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ゴムソールのきたっちさんは土斜面でも問題ないがフェルトの僕が15m以上高さで土斜面トラバースは怖すぎるのでチェーンスパイク装着。
正直これがなければトラバース出来なかった。
既にして落ち口より高い場所にいるのであまり標高は上げたくないのだが落ち口ジャストへのトラバースは岩場が邪魔するしトラバースできる斜度でもないので笹藪とのコンタクトラインへと高度を上げて笹を掴みつつトラバースした。
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一応足をおけるバンドはあったのだが振り向くと戻りたくない斜度。
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無事滝上にトラバースできたのはいいのだが沢は崖下。
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どこから下りますかねえと探った所先行するきたっちさんが越えようとしている大岩よりも手前で下りた方が安全と判断。呼び止めてロープを出してもらいロープを掴んで下りた。
懸垂する必要はないがここはロープが無いと降りられない。
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大滝上の沢底に着地して7:14。とりあえず核心を無事突破できて安堵。
荷物をおろして一休みする。
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下りてきた崖。
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ここで落ち口方向へ小尾根を下りずに崖をロープで下ったが、もしかして落ち口方面に小尾根は下りられたのでは?となり様子を見に行く。
落ち口から右岸小尾根を見上げると下りて来られそうではあった。
実際上から見るとこちらもロープ使いたくなるかもしれないが。滑ったら落ち口スルーして15m下へ落下する恐怖もある。
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ここできたっちさんが対岸、左岸の2mくらい上にバンドを見つける。
あそこを歩く人がいるのではないかと。いやそれは流石にないでしょう。怖すぎ。
カモシカロードだろうと言う事にした。
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落ち口付近も調べたので腰をおろして休憩。
ここできたったさんがコンクリブロックの太い石杭みたいなのを発見。なんでこんなところに?
とても工事とかできそうもない場所なのだが・・・。かなり上にある塩那道路関係である可能性は高いがこんなところまで流れてくるのだろうか。
この謎は後ほど答えが判明する。

続く。