12:14、1445m地点を発つ。
ここから上海岳までは烏ヶ森さんが歩いた時は残雪が残っていたらしくどの程度の藪か情報が得られなかった場所だ。モンスターネマガリが占拠しているのではと予測されていたが。
期待に応えて?ネマガリ登場。踏み跡は薄いが足元が楽になるだけまし。
次第に背丈を増してくる。
この辺りは獣道というか完全に熊の通り道だった。熊糞もよく見かけたしみー猫さんは熊がネマガリ齧った跡を見たという。一人では歩きたくないこと請け合いである。
熊道を行くニンゲンとケモノ。
熊道を外したりして進路を西に変える1480m手前辺りが一番面倒だった。
尾根が幅広なのも影響しているのだろう。
しかし少し踏み跡を外すとこれだ。
抵抗少なく歩ける場所を探して進む。
ナゲの横を通り灌木の隙間を通る笹薮を通過すると上海岳山頂(1501.3m三角点ピーク)にポンと飛び出た。13:03。
ようやく終わりも見えてきてやれやれとザックを下ろして休憩。
三角点タッチで記念撮影。
なお道中では皆うつみだけとかうえうみだけとか呼ぶことはわかっていたもののシャンハイと呼んでいた。
15年前の刈り払い跡がどれだけ残っているかが勝負の分かれ目だったのだが登山道クラスに残っていて一安心。
ガスガスで展望はないが気にしない。
アズナゲも混ざっている。いずれは踏み跡を覆いつくす腹積もりだろう。
少し進んだところの木に腰かけて待つ。
しかしなかなか来ないので心配していると10分くらいでようやくやってきた。
どうやらチェーンスパイクの片方がどこかの藪に消えたらしい。見つからなかったそうだ。
なおみー猫さんとチェルシーさんは中国製の安いチェーンスパイク、bonさんはモンベルのチェーンスパイクをしていた。
僕は今回のルートでそんなもんいらないだろうと家に置いてきた。
灌木たちに隠されつつある踏み跡だが足元は楽。
少しずつ踏み跡を侵食しつつある灌木達と触れ合い進んでいく。
栃木側が切れているとか先人の記録で見た気もしたのだがガスと育った藪のせいで気にならなかった。
1438m地点くらいで一瞬笹薮ゾーンになるがまた灌木ゾーンへと帰っていく。14:20。
1395mの鞍部くらいでみー猫さんがトップに立つ。
というかここまで8割方僕がトップで歩いてきた方がおかしい。気が急いていたのでひたすらトップで藪いていたが4人いるのだから本来は消耗を避けてトップを交代しつつ行くものなのだ。まあ獣道と踏み跡あったからね仕方ないね。
獣の踏み跡はあるのだが怪しい。
とりあえず藪もそんなに濃くないのでそのまま登っていく。
1410mくらいでは藪も薄かったし足元に古い石杭も見たからそんなルートを間違えたわけではなさそうだが1422mへの踏み跡は完全に見失い仕方なくなんとなく薄いかなあ?と思えるルートで1422m地点へとモンスターネマガリを泳いだ。
踏み跡がわからないので適当にモンスターネマガリを漕いで下る。
みー猫さんとbonさんが少し西よりへ行ったので僕とチェルシーさんはそれよりは少し東を下った。
熊道も見つからないし絡まる蔦のテープカットも必要だったし短時間だったが今回の歩きで一番ろくでもない藪だった。
まあ相変わらずネマガリゾーンなのだが踏み跡があるだけで天国のような楽々さ。
クラリスの尻を追いかけていく。
下るほどに笹薮の背丈が低くなり歩きやすく。
ゴールが近いのでまた気が急いて先頭に立つ僕がいた。
もう林道へは直接下りられそうではあるが一応最後まで踏み跡をたどる。
N田君と二人で始めた裏那須の無雪期栃木福島県境歩き、年一歩きで5年かけて大峠から大川峠の区間が完了した。感無量である。
なおここ数年このブログに登場しないN田君だが元気にやっている。若くして人生のゴールイン決めて守るべきものができたため気軽に山へ出かけられなくなっただけだ。
ベルトを締めなおそうとしたら腰の上あたりの腹肉がちくっとするので見てみると奴がいたのである。マダニが。
とりあえず冷静に撮影会。

サイトによってはマダニは下手に素人がとらず医者に除去してもらうことと書いてあったりするがあれは半分間違いだ。マダニは0.1%くらいのレアガチャを引き当てるとやばい病気を持っているのだが、その場合でも長い食いつかれている方が感染率が上がるらしい。日本ではまれなライム病も一日以上食いつかれていないと感染しないそうだ。それにマダニは食いついてしばらくするとセメントみたいな物質を吐き出して容易に外れないようにしてしまうらしい。
そんなわけできれいに除去できるならさっさと取り除いたほうがいいのである。
今回bonさんが救急キットを持参されており、ピンセットを受け取る。とりあえずハッカ油を吹き付けてもらうと苦しいのかマダニがうねうねしだした。
そこをDrみー猫に依頼し摘まんで引っ張ってもらう。ちょっと痛いがここは我慢。真っすぐ何回か引っ張ってもらうと口器も残らずきれいにマダニが除去成功。助かった。
さらにポイズンリムーバーで傷跡から血を吸い取りアルコール綿で消毒してもらう。恐らくマダニにかまれた直後の応急処置としては完璧。bonさんが救急セットをもっていて助かった。
ポイズンリムーバーは僕も持参しているのだがピンセットも持参しないとだめだな。
なおマダニ類の運ぶ病原菌にはアルコール消毒はかなり有効とのこと。
とりあえず万が一発症した時に検査するためにマダニは空のペットボトルに入れてお持ち帰り。酸欠になったのか気づいたら死んでいたが。
余談であるが翌日午前、会社を休み皮膚科に一応診察してもらいに出かけた。マダニも見せたが綺麗に除去できているからまず問題ないとのこと。熱出たらまた来てねと言われた。一応一週間たった今もぴんぴんしている。
ジップロックに入れて会社に持っていったら物珍しさから皆見たがった。
そのまま机の上にジップロックに入れて置いたら数日してマダニからカビが生えてきた。どうも保存の仕方が悪かったようだ。次回があっては困るのだが保存方法は考えた方がよさそうだ。
カビが生える前のマダニ君。
なのだが11kmもある。しかも半分は崩壊しているので大分時間がかかりそうだ。
15:43、下山開始。
早速崩壊しているわ藪が覆いかぶさっているわで先が思いやられた。
九十九折はショートカットして下り先へ。
崩壊具合はましになってきたなあと思っていたのだが行きの尾根とりつき近くまで来たら一番崩壊していて。
橋が流れたところに着いたのが18:04。ザックを下ろして座り込む。疲労困憊。
余談であるがすっかり疲れ果てた僕は林道歩きにおいては皆の後ろをへろへろになった足にむち打ち必死についていった。
19:07、コブキ沢出会い辺りで大川を渡る橋の上でヘッデン装着。日没である。
16時間21分の今までで最長の歩きだった。
途中軽く仮眠しつつ22時過ぎに帰宅した。
達成感もあるがもうあの崩壊林道栃木側を歩かなくていいんだというだけで心が軽くなった。
今回の軌跡。長い林道の軌跡部分は半分カット。

この地図の作成にあたっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。(承認番号 平24情使、第26号) |

そんなわけで無雪期栃木福島県境歩き裏那須の部(大峠-大川峠)は完了した。途中からもう裏那須ではないのではとも思ったがじゃあ何と呼ぶのか考えるのも面倒なのでここまでは裏那須で通すことにする。
今回は全般的に獣道か踏み跡が使えたので思ったよりは歩きやすかった。薄い熊道を歩いて時間のかかった上海岳手前を踏まえても獣道がなかったら相当時間がかかるだろう。黒滝股山ピストンみたいな灌木細尾根だとしたら誰も縦走できないだろうなと思う。
僕は第一回で漕がなくてもいいゲロ藪を無駄に漕いでいるせいで一回分多くかかったが、今回のように1389mから大川峠まで一気に歩くのであれば日帰り四回で大峠から大川峠まで歩けるはずだ。今回同行したメンバー以外に無雪期県境歩きにこだわる人間はそうそういるとも思えないがそのうちこの区間について簡単にまとめようと思う。
1389mから大川峠までの歩き、尾根取り付きから大川峠まで10時間15分くらいとまあそれはそれで長いのだが退屈で面倒なのが6時間の林道歩きだ。今後林道はますます崩壊していくと思うので、崩壊が酷い奥の方面、今回歩いた区間は早めに歩いておいた方がいいかもしれない。
コメント
コメント一覧 (8)
ほとんどトップやっていただきありがとうございました!自分は今回は首にタオルを巻き暑いがシャツの裾もズボン(あっと、今はパンツでしたね)に入れておきました。ふみぃさんについたヤツはきっとネマガリ藪の主から落ちたんでしょうね。力の入れ具合が分からず除去は少し緊張しました。ピンセットでしっかり顎と頭を押さえたのでダメージがあったのかな。専用のマダニ除去器具をさっそく手配しましたので、次回は数匹ついてもOKです(笑)たいへんお疲れさまでした。
ふみふみぃ
が
しました
黒滝股山を私が言った頃はもう少し展望があった記憶がありますが。下館山岳会とMWCの板は健在でなおかつ新しい銘板が増えていたのですね。好きな人はいるということですね。この区間の状況はよくわかりましたが、とても私が歩けるレベルでは無さそうでと思いました。にしても最後のマダニ食いつかれは災難でしたね。寝曲りにの中にはクマとカモシカが歩いてるでしょうから人間が来たら待ってましたとばかりでしょう。私も何度もお持ち帰りもしてますが未だに大丈夫なので相当に確率は低い気がします。アルコールかハッカ油噴霧で抵抗少なくしてエイヤッテ取るのが一番だと思ってます。まあよかったです。
ふみふみぃ
が
しました
首を長くして最終章を待っておりました
とてもとてもそれはそれは参考になります感謝です。
番屋コルを2~30分下れば給水できそう
何時の事か分からないけど挑戦します
キモイにせ藤原辺りもよろしく(笑)
ふみふみぃ
が
しました
次回の為に参考にさせて頂きます、あっマダニの件で(笑)
激藪漕ぎ した事は有りませんが何回もやられてると云う事は きっと楽しいのでしょうね(大笑)
体に充分気を付けて これからも精進して下さいm(_ _)m
ふみふみぃ
が
しました