靴も履き替え準備したところで8:30、F5の高巻きに入る。
高巻くルンゼの下部が傾斜のある岩溝なので念のためロープを出すことに。
きたっちさんにビレーのやり方を教えてもらい練習もかねてロープを手繰る。
カムだかナッツだかで支点をとりつつきたっちさんは登って行った。
ロープがたるまないようにしつつ伸ばしていくのはなれないと難しかった。
上に行ったきたっちさんからロープの設置完了の合図がきたので僕も確保しつつ登っていく。
takaさんが最後に登り、きたっちさんがロープを片付ける間にルンゼが狭いため少し上へと登っておく。落石起こすとやばいので慎重。
きたっさんと合流して8:55。
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今回のルートは一般的な高巻きルートらしいのだが、前回きたっちさんは別ルートから高巻いているため全員初見。どこでトラバースするものか手探り。
とりあえずルンゼを上まで登ってみると展望地に出た。
まだトラバースできそうな地形ではない。
流れで先頭にいた僕はスペースを空けるために上方の岩場を少し登った。
後続の二人を見下ろす。高度感はあるが足場がしっかりしているところにおりそんなに怖くなかった。
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まだトラバースできそうもないので登っていく。
2mくらいの段差を登りたいのにちょうどいい中間足場がない。しばらくもがいて横の壁をけって登った。もがいているところをtakaさんに撮影される。
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さらに二段ほど少し面倒な段差を登る。足場が広かったので落ちても一段で止まるという安心感はあったが嫌らしかった。上がった先には踏み跡があり、ここから先はそう危ないことはなさそうだ。結果的に今登った三段くらいの段差がこの高巻きの核心だった。9:05。
二度と見ることのないであろう光景を眺める。
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F5の落ち口が見えた。
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踏み跡をたどり歩いていくと無事トラバースルートに出た。
先人の記録で写真ほど怖くないトラバースと書いてあったが、確かに足場が安定していて恐怖は感じない。しかし油断すると谷底ですよときたっち隊長からの言葉に気を引き締める。
さてどこから沢に降りるかと思ったが下れそうなルンゼがありそこを降りた。
9:15、F6手前で沢復帰。
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また沢登りになるので僕は沢靴に履き替える。
クールダウンときたっちさんは滝へ打たれに行った。
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F5の落ち口を覗きに行ってみる。
多段小滝の下にスリングが。アイスの人か滝横を登った人か。いずれにしろ僕には縁のない世界だ。
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9:30、遡行再開。
F6は簡単に上ってゴーロを歩いていくとすぐ奥にF7が現れた。9:35。
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下段は右の階段状を登る。ここは怖くない。
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その上で段差のある滝をCS滝の落ち口下まで登っていく。
落ち口下で水流左から右へと移るところがヌメリで怖いとの事前情報だったが、面倒なので早めに水流に足を突っ込んだら特に滑ることなく進めた。
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CS滝落ち口下は数人が安定して立てる場所だが下を見ると怖い。
さてこの滝を登るのが今回の核心である。
実のところ高さは大してなく、ヌメリと水流シャワーが問題なだけである。でも滑り落ちたら下の多段滝へ流されて死ぬなという怖さがある。
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とりあえず一人目が登ってロープを設置しないといけない。
我らがきたっち隊長が空身で登ってロープ設置完了。やっぱりずぶぬれになるのは避けられないようだ。フィックスロープにザックを括り付けて持ち上げるかなと思っていたらきたっちさんはロープ握ってザック回収しに降りてきた。
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ここは確保機とロープ掴んでそのまま登ってくださいとの指示でロープ鷲掴みで僕が登る。
水流右の岩がヌメってそうだったのであえて真正面から水流に突っ込んで足場を探してみる。無かった。
水流は以外にも吹っ飛ばされるほどの勢いはなかったのだがまともに頭からシャワーを浴びると冷たい。ついでに上を見上げると水流にさえぎられて何も見えない。凍える前に水流右の岩に足をのせて登った。最後は結局水流の中に足を置いた気もするが。
びしょ濡れになったが落ち口に上がれた。上に出てからも少し滑って焦った。
続いてtakaさんが上がってくる。
上に出てくるころ、僕と同じように滑って声を上げたので思わず笑ってしまった。takaさんもやべえやべえといいつつ笑顔で歯を見せており悲壮感がなかった
でも本当はバカ笑いしてないでフォローする場面なんだろうなと思う。
最後にきたっちさんが登ってきたが一歩一歩着実に安定した動き。
全員滝上に出たところで10時を回った。
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ロープを片付けて小滝を登ると1280m二俣。10:09。
びしょ濡れになったので休憩。
ここから先は危険がないらしいので少し気が緩む。
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10:22、右俣へ進む。
ひたすらゴーロで標高を上げていく。危険個所は抜けたが意外とこの先が長かったり。
天気が崩れてきて少し雨が降り出すがどうせびしょ濡れなので気にしない。
少し肌寒いがピーカンで干からびるよりはまし。
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11時に1500mの二俣。
この辺りまで来ると沢の石が苔むしている。
きたっちさんが依然来た際はもっと下の方から苔むしていたが大雨で洗い流されたのではないかという。ここまでくると普通の源流チックで下流があんな険しい谷だとは想像つかない。
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左俣に入り苔むした小沢を詰めていくと11:21、1580mくらいで源頭の水源についた。
何か所からか冷たい水が豊富に湧き出ている。ここはいい水場だ。
その場で水を存分に飲んで、3L運ぶことにした。
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休憩して11:37、稜線へと詰めていく。
ここで沢靴のままだったのが失敗。
フェルトのせいで滑るし水をガバガバのんで塩飴なめなかったのが災いしたか足が痙攣。二人から少し遅れて歩いていく。
そこまで深くはない笹藪をのそのそと漕いで12:02、オロ山東の鞍部、1745mくらいに出た。
天気はぱっとしないが雷が鳴っているわけでもないので稜線で少し休憩。今更感もあるが塩飴をなめて足の回復を図る。
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休憩していると庚申山方面をヘリが旋回しているのに気付く。
たぶん皇海山に行った人が遭難でもしたんだろうなとまるで他人事のように眺める。遭難者と間違えてこちらに来られたら困るなと思ったがこなかった。
帰ってから調べてみるとやはり皇海山に行ったハイカーが帰りの六林班峠あたりで道に迷ったらしい。ビバークで一夜を明かして無事自力下山したとのこと。その後盆休み期間に別のハイカーも滑落して病院に運ばれたそうだ。群馬側からのお気楽ルートが閉鎖されたため百名山ハイカーがクラシックルートに挑み事故・遭難に出会う事例は今後も増えていくんだろう。
クマにさえ気を付ければ松木沢から一泊で行くのが楽だし安全だと思うのだが。
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12:12、鞍部から南に下り、仁田元沢の支流へ下降していく。
笹藪を適当に下ると意外と深い。しかし獣道が通っていてわりと捗る。
2分も下れば樹林帯に入り笹は薄くなった。
急傾斜の地面をジグザグに下ると12:19、1700mちょい下辺りで水流に出会った。
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ここでtakaさんときたっちさんの二人は水源を探ろうとノリノリで上流に進んでいったのだが、まだ軽く足が突っ張っている僕はこれ幸いと大木に腰かけて回復を図った。
二人はすぐ上で湧水を見つけたらしい。ウメコバ沢の源頭よりもこちらの方が稜線から近く利用価値は高そうだ。
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この枝沢、ここから下は非常に急で水流を下れそうにない。
幸い右斜面が笹藪なのでここもまた急であるが降りていける。
傾斜が緩くなってもゴーロで歩きにくく、また傾斜が出てきてと笹藪を降りていく場面が多かった。獣道も結構利用できた。
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12:51、1470m辺りで仁田元沢本流に合流。右から降りてきた。
下りは標高差ゲルの楽でいいなあといった感じであるが仁田元沢はこの先緩く下っていくため先は長い。
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仁田元沢はゴーロの沢で下りといえど面倒。右岸か左岸を歩いていく方が早いのであまり沢に入らず下っていく。
13:19、1330mくらいまで下ると滝があったのだが、その横の大岩で懸垂下降の練習をしましょうときたっちさん。大岩の傾斜が緩い方ときつい方どちらもでもいいですよとのことだったが怖いので僕は当然緩い方で。格好だけまねした感じ。
takaさんも続くが傾斜が緩いところで。
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きたっち隊長のお手本。
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その後も休憩挟んでどんどん下っていく。
1162m地点より下は以前来たことがあるのだが、あの時は登りで巻き以外水線沿いだった。
今回下りでひたすら巻き道を歩いていくのだがこんなところにも歩けるルートがあったのかと驚く。
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以前上から覗いたことのある滝。
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1255m地点下流のいつもはトラロープが垂れ下がっている滝はトラロープがなくなっていたためお助けロープで下る。
スリットダムを超えて林道の一か八か沢上で16:05。20分最後の休憩をした。
残念ながらここからもまだ一時間近くかかる。
中倉山登山口を過ぎるが人間はおらず。
結局この日は歩いている最中誰にも会わなかった。沢沿いを歩いてショートカットで帰還。
銅親水公園に17:15。
コロナのせいで温泉も入れないしまた今度、と現地解散。
観光客でそれなりに賑わう銅親水公園を後に帰途に就いた。

今回の軌跡
この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
無題
きたっち隊長のおかげで喉に刺さった小骨のような存在だったウメコバ沢を遡行できた。takaさんもいてくれたおかげでロープワークに不慣れな仲間がいて心細くなく楽しく遡行できた。僕が一番若いのに、一番体力がなくて途中遅れがちだったのは情けない限りだが。
ウメコバ沢は皇海山と足尾山塊によれば3級の沢とことだが今まで登った沢と比較すると確かにそんなものなのかなと思った。まあ間違いなく経験豊富な方に引率してもらわないと初級者はいけない場所である。フィックスロープがあるところはそれで確保するとしてもF7の落ち口の登りとかは誰かが突破してロープを垂らしてもらわないと怖くて登れない。ルートは分かったが僕がまた行くことはないだろう。

筋肉痛が回復したら盆休み後半は泊りで出かけよう、そう考えていた僕であったが泊りで出かけるにはどうも天候は安定せず。みー猫さんと案を出し合ったがこれはというものがなく、取り合えず天気のよさげな那須へと日帰りで出かけることになったのであった。