8:52、リスタート。
十分に回復したといいたいところだが、ここまでに流した汗が多すぎた。常に塩飴を舐めていたものの失ったミネラルは補給しきれてないらしく、足は少し重い。まあ水5L背負ったせいもあるのだが。
すぐに尾根には乗らず少し獣道でトラバース気味に上がる。
水を汲んだ沢の奥にも別の枝沢の源頭があり、その水気のせいか白い花畑となっていた。
相変わらずナゲ達は好き勝手しているが隙間が多くてそう邪魔ではない。
単純に急傾斜なので足取りが重くなり、二人から少し遅れがち。
折角冷やした体もまた暑くなる。まあ水の心配がないので心理的には余裕がある。
この尾根、ナゲばかりいるせいかやたらとナゲ饅頭が多かった。
尾根上の藪勢力が増すと隣に獣道が出現したりして。
しかしなんとなく獣道があり空中戦やどうしようもないという事態にはならず先に進んでいけた。
歩きやすい尾根上を、という所だが踏み跡のようなものは尾根の東をまくように続くのでそちらへ進んでいく。
谷間をトラバースするところで水の音が聞こえた気がするときたっちさんが湧水を探りに行くが水流はなかったらしい。
ここは尾根上に出て仕切り直しとする。
適当に斜面を登り1780mくらいで尾根上に出た。なんとなく道型はあるようなないような。
1800mくらいにくると道型があるような気もした。
ナゲはうろちょろしているだけ。大昔に刈りとられたのかもしれない。
日光の地味尾根でありがちな光景。実家に帰ってきたような安心感。
そういえば今日はクマの痕跡を全く見ていない。ナゲと針葉樹しかいないし水場も遠いから暮らしにくいのだろう。
1860mまで進み10:21。一休み。
ナゲはすっかり息をひそめた。
藪のない地味尾根をぶらぶらと歩いていく。雪田爺さんの記録では1800m辺りから夥しい倒木地獄で尾根の東に逃げたとあったがここ数年で腐ったのか普通に尾根上を歩いて行けた。
15分くらいで1950mくらいにつくというこの尾根にしては素晴らしく良いペース。
そうはいかんぞとナゲ達が身を寄せ合っており、すわ石楠花復古の大号令かと思われたがこけおどしだった。
このままゴールかと思いきや突如としてナゲ達がにょろにょろとわき出てきた。
あっというまに取り囲まれて僕ときたっちさんはナゲ達と濃厚接触、空中戦に入る。
一方きりんこさんはいつの間にかサイドに散開しており隙間を通過していた。
雪田爺さんは2100m辺りまでこの尾根を登ったと記事に書かれているがナゲ達についての記述はない。もう少し大きく尾根の左右に回避していたらナゲとくんずほぐれつしなくてよかったかもしれない。
今日はもっと天気が悪かったはずなのだが。暑いから雨が降れと思っている。
三界岳は目の前だがこのままナゲと戯れていても埒が明かない。
すると先を行く二人が尾根の東側に獣道のようなものを発見。
とんとんルートでナゲ回避し時間短縮。
おかげでナゲ出来高は中々のものだが意外とスムーズに進むことができて。
2130m過ぎくらいでナゲ達も観念したのか勢力が減衰。歩きやすくなった針葉樹林の獣道をたどればようやく三界岳が手に届くところに。後はあの光さす場所に飛び出るだけだ。
成し遂げたぜという達成感よりも疲労感が濃い。
流し続けた汗のせいでミネラル不足の僕の足は痙攣しており、最後は足を引きずるようにして山頂を踏んだ感じ。ぐったりした。
一足先に山頂についた二人に山名板と三角点の位置を聞き撮影。そしてそのまま地面に座り込む。日差しが暑かった。
12:22、先へ進む。
ここまででかなりの時間と体力と水を消費しているが肝心要の核心部はこの先なんだよなあ。救いの水場のおかげで水はまだ十分あるので女峰山へは向かえる。
出発前は核心部の岩場は巻きで行きたい気持ちが8割だったが、ここまでくると巻きで登って下ってが面倒なのでそのまま岩場の横を通過したいという気持ちでいっぱいだった。なんにしろ見てみないことには始まらないので岩場まで進んでいく。
三界岳だけから南の鞍部へ一旦下っていくが、ナゲ達がにょろにょろ。
山頂すぐ先は左から避けてその先は獣道で隙間を。
先頭のきたっちさんと僕は2050mからうっかり南東の支尾根へと下りかけるがきりんこさんが気づいて南西へとトラバース。するとナゲもおらず下りやすかった。
鞍部を通過し急斜面を登り返し。藪はないが疲れた足には来る。
2150mくらいからやおら藪めいてきて、東側の獣道で回避にかかるが結局藪につかまる。
しかしナゲの隙間にとんとんルートあり。
2189m地点手前で前方が見渡せる。件の岩場も見えるはずだがここにきてガスが流れてきて。涼しいのはいいが岩場はよく見えない。
すると尾根が極端に細くなる。
ここの岩場はぱっと見怖いが通過に支障はない。
どちらかというと足元が藪で見えない箇所がありそこの方が怖かった。
鞍部までこれ下れるのかなあという感じだったが思ったより平和に鞍部にはおりたてた。
下さえ見なければ怖くない。
2190mくらい。13:15。
僕ときたっちさんは東側の様子を探ることに。たぶんこれをああいってこうかなあというところできたっちさんが先行。これはいけますねということで僕も続く。
東側突破の参考にしたYoshiさんは「真似されても安全を保証できないためここの突破方法は記述しません」とのことで詳細は省かれている。僕もそれに則り文章による詳細は省くが写真で図示するとこんな感じで。
東側突破の参考にしたYoshiさんは「真似されても安全を保証できないためここの突破方法は記述しません」とのことで詳細は省かれている。僕もそれに則り文章による詳細は省くが写真で図示するとこんな感じで。
なんとなく察してもらえると思うがYoshiさんも伏せられたのは納得の安全は保障できないルートだ。ただし西側よりは高度感がないため怖さは緩和された。
核心部も終わったし後は楽勝と思いきや、すぐ先に急な崖があり、きりんこさんは左から回り込んだが僕ときたっちさんはそのまま登る。
ナゲ達に絡めとられて何が何だか。
しかし核心部を過ぎてアドレナリンが消失したのか僕の足は重くなる一方。
二人から遅れて緩斜面をマイペースにのそのそと登っていった。
まあまだ女峰山までの登りがあるんですけどね。
ただまあこの先は大して登りはないし登山道なので倒木で足を上げ下げもしなくてもいい。暗くなるまでに林道終点にさえたどり着ければいいのだから楽勝だろう。水も2L残ってるし。
続く
コメント
コメント一覧 (6)
水のある所、水音が聞こえたとは凄いですね.私が2009年に上タケ沢上流を見に行った時(下りられず敗退)の帰りに寄った所と同じだと思いますが、水は2-30m流れて後は伏流してました.
ふみふみぃ
が
しました
岩峰のところ、御三方だと問題なく通過でしたか!ふみぃさんの課題は水の管理と思いますが、湧き水に救われて良かったですね。
お疲れさまでしたと思ったら、
まだ後があるのですか?(笑)
ふみふみぃ
が
しました
人が苦しんでる姿を見るのはこの上ない至極の時間です(笑)
私の様に軟弱な登山道しか歩かない人間にとって 理解不能な行動ですが、見てる分には楽しいったらありゃしない(笑笑)
水だけで、4,5kg 私ならそれだけで行動不能になります(TT)
そろそろ涼しくなってきたので、水の心配も無くなるでしょうし 恒例のクマさんとのバッタリも期待できますので、次回作が楽しみです(^-^)v
ふみふみぃ
が
しました