灌木が少しうざい1720m級ピークから北西へと降りていく。
ここもまた笹薮の中でナナカマドが邪魔をした。
鞍部へ下り1720mへと向かうがこのネマガリゾーンが酷い。
背丈を駒に越えるし密度も高い。183cmの僕でこれなので低身長の方は息が苦しいだろう。
あまりに密で手で掻き分けて足で踏みつけないと前へ進めない。
おまけに頻繁に蔓が絡まりまた体力を奪ってくる。平坦なのにかなり体力を消費するやばいうざ藪だ。
みー猫さんはまさに笹薮を泳いでいく。
この辺りきつすぎるのと見渡す限り変わらぬ笹薮のせいで僕もみー猫さんも写真をろくに撮っていなかった。
普段は短い区間で前後を交代することはないのだが、あまりに体力を消耗するので短いスパンで前衛を交代して進んでいく。
ネマガリ&蔓に加えて時折混ざるナナカマド軍団がこれまた厄介。見かけたら巻く方向で行く。
ナゲ達は押しのければ通れるので優しい部類。
丹後山遠すぎるだろ・・・と思っていたらここでようやくあれは中ノ岳だと気づいた。
丹後山は前方中央のなだらかな奴だ。いずれにしろこれからまだ下りと登り返しがあるので時間が読めない。
すると笹薮がとんでもなく深くなり背丈を余裕で越える上にナナカマド達灌木が蔓延り隙間がない。
僕があがいているうちにみー猫さんが活路を見出そうと北へと進んでいく。
すると突如としてポン、と草地に飛び出た。ここが天国か。
笹薮に戻りましょうなどと言う台詞は二人とも出てくるはずはなく。時間も押しているので草地トラバースで時短を図ることにした。13:35、1710m北の溝。
草地とはいえ斜めトラバースは間違いないのでチェーンスパイクがあると安心だ。
この溝に水がわいていればと思ったがそこまで都合が良くはなかった。
草地を回り込み笹薮とのコンタクトラインを進むと灌木も交じるが背が低く歩きが捗る。
やがて獣の踏み跡を見つけたりしてガンガン進んでいく。
獣は賢い。薮を避ける。藪漕ぎする人間は愚かとみー猫さん。
沢形をまたぐ際に少し水が流れておりおっと思ったが水源は池塘だった。これはろ過しないとのめない。
直進してから結局少し下り右下の藪を突っ切ることに。
しかしすぐに道は拓けて。
斜面を少し登り返してからひたすら獣道を辿り時短していった。
この区間水の入手はやはりネック。
小穂口の頭に行く前に早めに沢で水を汲んでおくのがポイントだろうか。
池塘の水ろ過は時間がかかるのだ。
前方の溝状にこんどこそ流水、と思ったがやはり流れておらず。
溝を横切る先で踏み跡はトラバースして続いていたので踏み跡から離れ溝を利用して1792m方向へと登っていく。
振り返れば綺麗に獣道が続いていた。
利用しない手はない。
ぽつりとナゲもいるが気にならないくらいだ。おまけにガスガス。
1792m手前に軽い段差があるのだがこれがまた曲者で。とんでもない笹薮密度で体を引き上げるのに一苦労した。
急にガスが流れて前方が見えた。登山道に避難小屋。日没までどこまで下れるかはわからないが何とかなりそうだ。草地で時短しなかったらやばかったな。みー猫さんも満面の笑みでやってくる。今日は暴風+ピーカンでなかったのも水消費を抑えられてよかったな。
深い笹薮の中だが腰を下ろして休憩。
もはや濡れていなければ藪中でも気にしないメンタル。
笹薮はそこまで深くはないが疲れた足には来る。
みー猫さんを躱して草地へダッシュ気味に滑り込む。ようやく笹薮から解放された。
ガスっているが折角なので丹後山へ向かう。避難小屋で水も欲しいし。
小屋前の案内板に巻機山と書いてあるのはもはやギャグだろう。水なんてものもないし。
特に感動もないが一応踏んでおく。この先はまたいつか。
ポリタンクには雨水が溜めてあり一応飲み水になるらしい。
まあ池塘の水ろ過して飲む日々を過ごした僕らにとっては水草がない分上等なのだがかといってそのまま飲むのも抵抗がある。
一応保険として汲んでおくが口はつけなかった。
刈り払われた登山道は実に歩きやすいので捗るが。
隣の尾根は黄葉が綺麗。
こうして遠目で見る分には綺麗な笹原だが内情は地獄だ。
二合目に17:59。
ここから足元を照らしつつ下るので疲れと相まってかなりペースが落ちた。ついでに日が落ちたのに気温が高く無駄に暑い。
ここからは林道歩きなので気楽だ。
足をひねらないように歩いてゲート前に19:27。長い長い15時間越えの歩きはこうして終わった。
コンビニでカロリー補給して高速に乗ったが実に眠い。PAで二時間ほど寝てから帰った。
裏那須の県境は県境への出入りが面倒な割に県境尾根は細尾根のためか獣道が通りわりと歩きやすい。それと対照的なのがここの県境尾根で、県境への出入りは登山道のため標高差はともかく楽なのだが肝心の県境は草地に逃げないと獣道もなく笹薮をガチンコで泳ぐ羽目になる。ついでに水場もろくにない。中々につらいところである。
今回蔓が蔓延っていたことから考えて無雪期は年に1グループ歩いていればいい方かもしれない。
時短を図ったのでなんとか日帰りできたがこれを日帰りでやるのであればもっと早く草地に逃げるか(ふーてんさんの記事を真面目に読み返したら1692mの鞍部溝から逃げられるらしい)相当の健脚で本谷山まで四時間切れるような人種じゃないとだめだろう。軽い気持ちでいけるのは越後沢山までである。ネマガリ藪で足の上げ下げを強いられたせいで筋肉痛が治るのに三日かかってしまった。
実のところ巻機山から小穂口の頭を歩いてからここの区間を歩きたかったのが本音であるが、まあ下りルートの下見もできたし良しとしたい。続きは来年以降。年に一度は奥利根も歩いておかないとと思うのであった。
コメント
コメント一覧 (4)
今回は本当にお疲れさまでした!
本気のネマガリ薮に人の力は、僅かなものと実感しましたです。
めげずに頑張る気持ちはもう起きてるようですね(笑)
ふみふみぃ
がしました
秋に本谷山山頂テント泊の往復で歩いた事があります、その時は、小穂口の頭手前の沢で給水できました。25年前に出会った中の岳救助隊の隊長さんが本谷山ルートの整備をしたいと話されていました、今ではすっかり一般ルートですね。5月のGWに二回ほど下津川~本谷~丹後の稜線を歩いた事がありますが、それでも、越後沢から丹後が遠かった記憶(雪道でしたが)があります。それを密藪漕ぎで歩かれるお二人は驚異的ですね。
巻機から谷川朝日の稜線も、今どきは藪ですが、それなりに人が歩いた雰囲気が残っているの(稜線笹がしなっている)と、蔦や灌木藪はなかったので、お二人なら日帰りで踏破されそうですね。
ふみふみぃ
がしました