灌木が少しうざい1720m級ピークから北西へと降りていく。
ここもまた笹薮の中でナナカマドが邪魔をした。
鞍部へ下り1720mへと向かうがこのネマガリゾーンが酷い。
背丈を駒に越えるし密度も高い。183cmの僕でこれなので低身長の方は息が苦しいだろう。
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ネマガリの密薮に僕が苦労しているのを見てみー猫さんが前へ出る。
あまりに密で手で掻き分けて足で踏みつけないと前へ進めない。
おまけに頻繁に蔓が絡まりまた体力を奪ってくる。平坦なのにかなり体力を消費するやばいうざ藪だ。
みー猫さんはまさに笹薮を泳いでいく。
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ゲロ藪であるがもう越後山・本谷山へは戻れない。退路は断たれた。
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1710m地点まで行って休憩するつもりだったがあまりにゲロ藪のため1700mくらいまで登り返して藪の中で10分休憩。12:48。水は足りそうだが時間と体力は足りるだろうか。
この辺りきつすぎるのと見渡す限り変わらぬ笹薮のせいで僕もみー猫さんも写真をろくに撮っていなかった。
普段は短い区間で前後を交代することはないのだが、あまりに体力を消耗するので短いスパンで前衛を交代して進んでいく。
ネマガリ&蔓に加えて時折混ざるナナカマド軍団がこれまた厄介。見かけたら巻く方向で行く。
ナゲ達は押しのければ通れるので優しい部類。
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1710m辺りに13:25。肩まで藪から出てほっと一息。
丹後山遠すぎるだろ・・・と思っていたらここでようやくあれは中ノ岳だと気づいた。
丹後山は前方中央のなだらかな奴だ。いずれにしろこれからまだ下りと登り返しがあるので時間が読めない。
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県境は軽く左に曲がってから1700m小ピークへ向かうので僕も左折しようと笹薮を漕いでいく。
すると笹薮がとんでもなく深くなり背丈を余裕で越える上にナナカマド達灌木が蔓延り隙間がない。
僕があがいているうちにみー猫さんが活路を見出そうと北へと進んでいく。
すると突如としてポン、と草地に飛び出た。ここが天国か。
笹薮に戻りましょうなどと言う台詞は二人とも出てくるはずはなく。時間も押しているので草地トラバースで時短を図ることにした。13:35、1710m北の溝。
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とりあえず溝まで下ってチェーンスパイク装備。
草地とはいえ斜めトラバースは間違いないのでチェーンスパイクがあると安心だ。
この溝に水がわいていればと思ったがそこまで都合が良くはなかった。
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13:45、溝を出発。
草地を回り込み笹薮とのコンタクトラインを進むと灌木も交じるが背が低く歩きが捗る。
やがて獣の踏み跡を見つけたりしてガンガン進んでいく。
獣は賢い。薮を避ける。藪漕ぎする人間は愚かとみー猫さん。
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一旦藪の中の溝を通過するがまた草地を行く。
沢形をまたぐ際に少し水が流れておりおっと思ったが水源は池塘だった。これはろ過しないとのめない。
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この藪どう通過します?の図。
直進してから結局少し下り右下の藪を突っ切ることに。
しかしすぐに道は拓けて。
斜面を少し登り返してからひたすら獣道を辿り時短していった。
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沢形をいくつも横切るが水は流れていない。
この区間水の入手はやはりネック。
小穂口の頭に行く前に早めに沢で水を汲んでおくのがポイントだろうか。
池塘の水ろ過は時間がかかるのだ。
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灌木薮を少し超えたらまだ踏み跡は続いていて。このままどこまでもいけてしまうのではと思うがそうはいくまい。
前方の溝状にこんどこそ流水、と思ったがやはり流れておらず。
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溝を横切る先で踏み跡はトラバースして続いていたので踏み跡から離れ溝を利用して1792m方向へと登っていく。
振り返れば綺麗に獣道が続いていた。
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笹薮をがさがさと泳いでいくと何故だか右の方は笹薮が低くなり、終いにはまたしても草地が現れた。獣道も見える。もしかしたら下から続いていたのかもしれない。
利用しない手はない。
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草地から溝と登り平坦な笹薮に突っ込むと、1792mを目前にして笹薮が深い。
ぽつりとナゲもいるが気にならないくらいだ。おまけにガスガス。
1792m手前に軽い段差があるのだがこれがまた曲者で。とんでもない笹薮密度で体を引き上げるのに一苦労した。
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14:53、1792m地点。
急にガスが流れて前方が見えた。登山道に避難小屋。日没までどこまで下れるかはわからないが何とかなりそうだ。草地で時短しなかったらやばかったな。みー猫さんも満面の笑みでやってくる。今日は暴風+ピーカンでなかったのも水消費を抑えられてよかったな。
深い笹薮の中だが腰を下ろして休憩。
もはや濡れていなければ藪中でも気にしないメンタル。
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15:04、登山道めがけて疲れた足で前へと進む。
笹薮はそこまで深くはないが疲れた足には来る。
みー猫さんを躱して草地へダッシュ気味に滑り込む。ようやく笹薮から解放された。
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草地を繋いで登山道に離脱したのが15:35。
ガスっているが折角なので丹後山へ向かう。避難小屋で水も欲しいし。
小屋前の案内板に巻機山と書いてあるのはもはやギャグだろう。水なんてものもないし。
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振り向けば雲が綺麗ではあるが展望もなくガスガスな丹後山山頂に15:41。
特に感動もないが一応踏んでおく。この先はまたいつか。
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さっき通り過ぎた避難小屋に戻る。
ポリタンクには雨水が溜めてあり一応飲み水になるらしい。
まあ池塘の水ろ過して飲む日々を過ごした僕らにとっては水草がない分上等なのだがかといってそのまま飲むのも抵抗がある。
一応保険として汲んでおくが口はつけなかった。
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15:51、下山開始。ここからは時間との勝負であるが疲れているので急いで怪我してはいけない。
刈り払われた登山道は実に歩きやすいので捗るが。
隣の尾根は黄葉が綺麗。
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中ノ岳は標高はあるが、今日の藪漕ぎを考えたら丹後山・中ノ岳の日帰り周回は割と楽そうに思えた。
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歩いてきた県境を雲が越えてくる。
こうして遠目で見る分には綺麗な笹原だが内情は地獄だ。
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夕日を浴びているせいか結構良く見えた紅葉。
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下っていくと今度は黄葉が鮮やかに。
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五合目手前で小休止して下っていくがあっという間に暗くなってくる。
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17時40分過ぎくらいから大分暗くなり、二合目手前でヘッデンを装備した。
二合目に17:59。
ここから足元を照らしつつ下るので疲れと相まってかなりペースが落ちた。ついでに日が落ちたのに気温が高く無駄に暑い。
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大分へろへろになり一合目で小休止して登山口についたのが18:49。
ここからは林道歩きなので気楽だ。
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だらだらと歩いて行くと左岸からすぐそこで湧いてそうな冷たい水があったのでみー猫さんとおいしく頂く。生き返った。結局丹後山避難小屋の水は飲まなかったが保険にはなったので良し。
足をひねらないように歩いてゲート前に19:27。長い長い15時間越えの歩きはこうして終わった。
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みー猫さんは明日休みを取っておりどこか登って帰るか迷っているとのことでここでお別れ。
コンビニでカロリー補給して高速に乗ったが実に眠い。PAで二時間ほど寝てから帰った。

今回の軌跡
この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
無題
久々にろくでもないゲロ藪を漕いだなあというのが感想。
裏那須の県境は県境への出入りが面倒な割に県境尾根は細尾根のためか獣道が通りわりと歩きやすい。それと対照的なのがここの県境尾根で、県境への出入りは登山道のため標高差はともかく楽なのだが肝心の県境は草地に逃げないと獣道もなく笹薮をガチンコで泳ぐ羽目になる。ついでに水場もろくにない。中々につらいところである。
今回蔓が蔓延っていたことから考えて無雪期は年に1グループ歩いていればいい方かもしれない。
時短を図ったのでなんとか日帰りできたがこれを日帰りでやるのであればもっと早く草地に逃げるか(ふーてんさんの記事を真面目に読み返したら1692mの鞍部溝から逃げられるらしい)相当の健脚で本谷山まで四時間切れるような人種じゃないとだめだろう。軽い気持ちでいけるのは越後沢山までである。ネマガリ藪で足の上げ下げを強いられたせいで筋肉痛が治るのに三日かかってしまった。

実のところ巻機山から小穂口の頭を歩いてからここの区間を歩きたかったのが本音であるが、まあ下りルートの下見もできたし良しとしたい。続きは来年以降。年に一度は奥利根も歩いておかないとと思うのであった。