分岐から少しは笹が被っていたが次第にすっきりとしてくる。
何人か降りてくる人がいて、わりと人気があるらしい。
急な土斜面には長いロープが張ってあったが上からハイカーが下りてきて。
待つのも面倒なのでロープに触らないように灌木つかって登り近づいたところで避けてすれ違った。
雲が増えてくるかと思ったが今のところいい天気。
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左側が崩れ落ちている箇所かあったがロープがあるので安心。
こういう危険個所は何か所かあったがいずれもロープがあるので怖さはない。
少し疲れが溜まって足が鈍りつつあるが、展望いいので気分は良い。
増えてきた雲に山頂が隠れたりして気を揉むが、雲の流れが早くまたすぐ晴れて。
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山頂まで一登りと言ったところで左斜面に残雪たっぷり。
まあこれは山頂ではなく手前の小ピークだったわけだが。
2年前の瀑泉さんの記事と比較すると今年の残雪の多さが良くわかる。
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小ピーク先で今度こそ最後の一登りして旭岳についた。
13:14。
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分岐から山頂迄に10人はいかないにしてもそこそこのハイカーとすれ違ったので山頂にも誰かいるかなと思っていたのだが皆下山したようで。
これ幸いと山頂独占。
南と西は薮が覆って360°の展望とはいかないが眺めのいい山頂。
20分ほどだらだらしていたが雲も増えてきたが下山することにした。
13:34。
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山頂から南側の明瞭な踏み跡で奥へ。
こちらへくると西の展望が良い。
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進んではいけない南西尾根。
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ちょっと怪しげな踏み跡を辿り南尾根へ移動。
ガチヤブ漕ぎか?と思ったがハイマツゾーンではわかりにくいもののナゲ達の隙間には明瞭な踏み跡が続く。かつての登山道の名残はまだ健在。
足元がしっかりしているので上半身でナゲ達を押しのけるだけでいい。
思ったより楽に進んでいける。
青空も広がっているし鼻歌交じりの快適藪歩き。
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このあたりのナゲ達、何故か花付きも良く見栄えがする。
登山道ではないところで状態がいいとは相変わらずひねくれた奴らだ。
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藪漕ぎも毎回これくらい気分良く歩ける稜線ならいいのになあと思いつつ下っていく。
そのうち笹たちが踏み跡を隠すが、逆に笹のおかげでルートが分かりやすかったりして。
この時期の笹は勢力が衰えているので障害にはならない。
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ガレが斜めに下りていて、踏み跡はその先にあるようにも思えたが、一度尾根を外すと戻るのが面倒だなと僕は尾根を直進した。
すると踏み跡で減衰していないナゲやイヌヅケの灌木オールスターズとガチンコ勝負する羽目になりちょっと面倒。
踏み跡のおかげで難易度が3ランクくらい下がっているが、そうでなければ一級のゲロ藪である。
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ハイマツがいると踏み跡が覆い隠されてしまい空中戦もどきになる。尾根の左側は切れ落ちているが、右側は余裕があるためそちらの灌木の隙間から一応通過できて少し楽。
しかし今日は薮手袋を家に忘れて素手な僕はマツヤニがべとついてテンションが下がった。
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ハイマツの蔓延る面倒パートとハイマツのいない楽々パートを交えつつ着実に進んでいく。
そんなに早くは進めないが行く先が見えているのは気持ちが楽だ。
藪が乾いているので不快感もないし下りなのであんまり疲れない。
裏那須の藪入門としては結構いい尾根なのではないかと思う。距離も大してないし。
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そこそこ下ったかと思ったが40分で400mくらいしか進んでいなかった。苦笑。
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久々にナゲ達と心温まる触れ合いをした後14:25、南の肩。
ここから南西の尾根を降りてもいいのだが、積雪期に笹中心と書かれていた少し南東に下りてからの南斜面が楽なんじゃないかとそちらへ向かってみる。
するとそれまで散々はしゃいでいたナゲ達はすっと姿を消しイヌツゲやその他の灌木の隙間を背の高い笹薮が占める環境に。
踏み跡らしきものはよくわからないので適当に笹薮を下った。
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1680m辺りから南南西へと適当に下り始める。14:32過ぎ。
イヌツゲ、アスナロ、ミネザクラといった灌木の隙間をネマガリダケが埋める盤石の布陣。これ藪慣れして感覚がマヒしてる馬鹿じゃなかったら泣いてるね。
まだ稜線はなれて5分と経っていないのに見上げれば一体どこを降りてきたものやら。
もう戻れない。
ここ10年で僕しか見てないんじゃないかと言う一株のムラサキヤシオ。
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背丈を越えるネマガリ藪を、時折混じる蔦を切りつつ適当に下っていくと14:43、1600mくらいで地形図でかすかにわかる沢形の始まりに偶然たどり着いた。
ただこの時はまだ沢形と気づいていなかった。
何かこの真ん中だけ笹が薄いな?と思いつつそのまま下っていくと1580mくらいで左足が膝まで沈んで焦った。しかしながらそれで沢形があることに気付いたのだ。
水の流れてない沢形なら沢装備なくてもオッケーだろう。
僕はこの沢形を下ることにした。
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しかし沢形と言えども笹は覆いかぶさっているので歩きやすくはない。足元が楽なだけだ。
ちょっと笹が薄くなって楽だなあと思ったのもこの程度で。
時々3mくらいの段差があったりして気は抜けなかった。
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それでもまあただのゲロネマガリ藪を下るよりは大分捗って。
途中から沢形のヘリを歩いたりもしたが1590mくらいまでくると急に下方の傾斜が緩くなっているのが見えた。
これは地形図でもよくわかるゾーン。
南西の小尾根に乗ろうと右方へ笹薮をトラバースしていく。
この時期のネマガリはわりと漕ぎやすい。
そのうち笹の背が低くなり広場もあったりしてこれは楽勝かと舐めてかかったら逆襲にあい笹の海で溺れかけた。
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青い空に青い(笹の)海。夏は近い。
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バカやりつつ1550-1560mの緩々ゾーンを南西の小尾根入り口辺りまで来ると笹は疎になり歩きやすい。
ここからヨロイ沢右岸尾根でも降りればいいかと適当に下っていく。
しかし笹は次第に勢力を増し、気づけば僕は1540mの小尾根分岐で右に落ちていた。
戻るのも面倒だしムラサキヤシオも咲いているしと適当に下り続けていく。
やってることは遭難者と大差ないのだがわりと気楽に楽しんでいた。
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15:16、地形図で何となくわかる沢形の一つに降り立つ。1500mくらい。
すると偶然にも岩清水が湧き出す水流の開始地点だった。
これがあるなら前の水場で3.5L汲まなくて良かったな。まだ2L以上あるのでここでは水補給なし。一時間あれば下るだろうし。しかし冷たくて旨そうな水だった。
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現在地はどうもいくつかの沢形が合流する箇所の数10mほど上流らしい。
このまま沢を下ってもいいがこの沢は細いとはいえしっかり水が流れているし滝があったら面倒だな。
右の中間尾根に登るか。
僕は尾根上に出ようとした。しかし屈強なネマガリに弾かれてしまった。
面倒だなと思いつつ、尾根左をトラバース気味に下っていくと、1480mくらいで急に笹薮が薄くなり(当社比)すんなりと尾根上に出られた。左の沢との高低差もほとんどないので自然に尾根上に出たという方が正解か。
随分と歩きやすくなった尾根を下っていくと15:27、右から沢が合わさる二俣となり下ってきた中間尾根は潰えた。1440m辺り。
右の沢は土壁っぽいナメ滝。湧水で始まっていた左沢はヌメヌメのナメ床。
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中々雰囲気のいい二俣だった。
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その先のゴーロの沢を離れて右岸の薄い笹薮を下り始めるが、そういえばマツヤニ洗いたいなとすぐに沢へと戻ったり。
その後も笹薮の中の踏み跡を歩くがやっぱり沢が気になって近寄ってみると泥岩のナメが続いていた。
まあ遡行価値はないんだろうが木になる小沢。
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そろそろ真面目に下るかと、尾根上に乗って下っていく。
行きがけにみた林道上はネマガリ藪だったのでこの辺りもネマガリかと思っていたのだが、歩きやすい背の低く密度の低い笹薮が続いていく。
何処でも歩けるからどこを歩こうか迷ってしまう。踏み跡もあったのだがわりと無視。
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下るにつれて笹が疎になりどうとでも歩ける。
ふらふら下っていくとあちこちで細い水流があり水の豊富な山林なのだなとどこか気分が良かった。
林道も近い1300mくらいまで降りてきて15:49、小沢が変則三俣になっており、何かそういう気分だったのでここで右岸に渡渉した。
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するとそちらは植生が変化。
打ち捨てられたカラマツ達に蔦が巻き付いた不思議な空間。
踏み跡や広場みたいなところもあり妙な感じだ。
そして何故かここに来てネマガリ登場。笹薮が深くなる。
そういやタケノコ取れるんだったなと朝のおじさんを思い出し、適当に地面を探してみるとまあ食べられそうな柔らかいやつがちょこちょこ。5分くらい適当に漁ってみた。
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飽きたし帰るかと現在地をGPSで見たらもう林道のすぐ上だった。
直ぐに林道を見下ろせるようになり、踏み跡を辿って崖の上から降りた。
林道をぶらぶらと下っていく。
朝はあんなにいた車はもう一台しかなかった。
16:11、駐車地着。マダニチェックはセーフ。
高速乗ってからPAで仮眠してのんびり帰った。
翌日山菜うどんを作ったのだが、適当に選んだタケノコはやはり適当であり、食いでがあるやつは大してないのであった。
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今回の軌跡
この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
無題
核心部
無題2
大峠から旭岳に至るルートはこの季節ナゲが咲いていることもあり気分良く歩けるいいルートであった。
旭岳南尾根も序盤はわりと踏み跡が続いているしそれ以降も下りなのでまあなんとかなる。薮経験者の引率ありならわりと初級者のいい薮練になるところではと思った。
南尾根を離れてから湧水の沢形に下りるところまでは下りなのでゲロネマガリ藪もそれなりのペースで進めるのだが、かなり藪慣れしていないとソロで歩くのは心細くなるだろう。藪慣れしているのであればわりといい周回ルートだと思うのだが。湧水の沢形以降は気楽に歩けていいところだった。鬱蒼としていないのがいい。木漏れ日の気分のいい山歩き、熊にだけ注意と言ったところか。

これで尾瀬から那須までの栃木福島県境無雪期歩きも残るところ一区間。天気さえよければさっさと歩きたいところである。