火曜日は副腎腫瘍の診察を受けるべく朝からつくばの某大学付属病院へ出かけた。
予約は九時半で30分前に受付するように指示があった。45分前についたからこれは余裕だなと思っていたのは大間違いであった。

始めていく病院の為当然初診。さて初診はどうすればいいのかな、僕は予約しているけれどもと初診受付の様子をうかがうとどうやら横の自動受付機で番号札をもらうようだ。発行された札は14番。これならそう待たないだろう。しかし受付を観察していると呼び出されてはいOK、というわけではなくまず一度呼び出されてから書類を渡してそこからカルテ作成に入り再呼び出しという流れらしい。皆結構時間がかかっている。刻一刻と予約時間が近づいてきて焦った。

結局手続きが終わり診察券を手に入れて行き先を指示されたころには予約時間を15分ほど過ぎていた。大学病院をなめていた。
指示された泌尿器科に向かい、診察ファイルを渡す。簡単なアンケートを渡されて回答するとほどなく呼び出されて診察室へ。
若い先生でやたらハキハキと喋る人。どうしてこの病院を紹介されたか聞いていますか?と問われて副腎がデリケートで難しい手術だから・・・などと答える。先生曰く、やはり事前準備も必要だし手術中のアクシンデントに備える必要もあり簡単ではない手術とのこと。でも経験ある先生が手術してくれるようなので安心した。事前準備として血管を広げる薬や体液量の調整が必要でそれは内分泌科の先生と話すように言われた。また、泌尿器科の副腎専門の先生の診察も受けるように言われたが月曜しかいない先生らしく無理やりねじ込んでもらっても診察は1/30になった。
また、入院日は決まっていないが入院予約手続きだけは今日済ませるように言われてなるほど?とよくわからないままうなづいた。ついでにいくつか検査してから帰るように言われて診察は終わった。

心電図→レントゲン→血液検査と先月から既に慣れ親しんでしまった検査コースをさっさとすますか、でも診察ファイルが返ってこないなと待合室の椅子に座っていると、看護師さんがやってきて同意書を渡される。どうも大学附属病院だからか検査で余った血液や尿を研究に利用してもよいかという同意書のようだ。一向にかまないのでサインをしたがフィードバックも欲しいと思った。

診察ファイルと入院手続きのためのファイル、そして病院の地図をもらいRPGのお使い感覚で心電図、レントゲンをすます。ここまでは受付にファイルを渡す→呼び出されて検査の流れなのでスムーズ。ただ血液検査に行くと受付前に診察券を機械に通して番号札をもらうスキームが入りちょっと戸惑った。
血液検査、今日は10本抜きますとのこと。いつまでたっても採血は慣れないなと思ったが、この日の採血担当は腕が良くて全然痛くなかった。大学病院だからだろうか。

検査が終わり、会計前に次回予約コーナーへ。副腎専門の先生の診察予約はさきほどとってもらったのだが内分泌系の予約のため必要なようだ。
予約手続きしたら内分泌科だけではなく麻酔科の診察と心エコー検査の予約まで入っていた。さっき先生そこまで言ってたっけ?まあ全身麻酔の手術だからしかたないか・・・と納得した。
会計へいくと会計番号が1200近かった。流石大学病院患者が多いのだなあと眺めつつ。今日の診療費は9000円弱。だんだん金銭感覚がマヒしてきた。

会計後に行けと言われていた入院支援相談所みたいなところへ立ち寄る。入院日は未定なんですが・・・と話すとそれなら今話しても忘れてしまいますよねと次回診察時に立ち寄るよう予約を入れられた。1/30は診察三つに入院支援相談か。忙しないな。その後入院手続きの窓口へ行き入院のしおりや保証人の紙を渡されて終わった。PCR検査の検体を入院前日に出さなきゃいけないのは面倒だと思った。予定していなかった検査等々で時間を食いすでに13時。午後から出社する予定が完全に狂った。明日から年内は休むつもりだし夕方に顔だけ出すか・・・。残念ながらやるべき仕事はいくらでもある。
とりあえず午後年休の許可をもらうべく課長に連絡して帰った。


翌日の夕方、僕は会社の先輩と後輩のオワコン・とんとんの四人で卓を囲んでいた。先輩にはお前体調大丈夫かと心配されていたのだが、末期の卓なんで・・・と思ってもいない自虐ネタで押し通した。山へ行ける体ではないが、薬が良く効いているためいくらでも寝れるくらい寝つきはいいし、食欲も戻って体重を気にしているレベルだ。
そんな中僕のスマホが震えた。番号を見るとつくばナンバー。いやな予感がして無視せずでると案の定大学病院から。おいおいと思っていると内分泌科の先生が1/30では遅いから1/10に診察を受けに来てほしいとのこと。理由が気になるが事務の人に聞いてもわからないだろう。おそらく手術前の投薬を早めるためだろうと思うが。

僕が電話をしている間にも卓は廻る。うっかり聴牌してしまいリー棒を出すと自動卓が反応し高らかに「リーチ」の発声。電話先に聞こえたかもと焦っていると後輩たち爆笑。お前ら自重しろよといいたいが電話に出ているので制止できない。僕も釣られて半笑いになってしまう。予約時間は?と聞いていると集中できない僕の隙をついて笑いながらとんとんとオワコンもリー棒を出して「リーチ」の声を出させて爆笑している。先輩も笑いだす。もう耐えられなかった。僕も笑った。
笑いながら電話しているのですいません麻雀中でと言わなくてもいいことまで言ってしまった。何かもう色々頭から飛んでしまったので三回くらい予約時間を聞き返した。
普通病院から緊急の電話があったらシリアスになる場面だと思うのだが全くそんなことはなく・・・。
それまで勝っていたのにここで調子を崩して僕は久々に麻雀で負けた。

そんなわけで既に一月は病院の予約が三日間入った。
手術確定なわりと重めの病気なのでもう少し落ち込むべきかもしれないが今のところ大して僕は落ち込んでいないし悩んでもいない。腫瘍とれば心臓機能が戻りそうだし毎日よく眠れるので11月と比べればかなり気分がいいくらいだ。
今のところの悩みは食欲が戻って体重が徐々に増えてきたことと仕事が相変わらず忙しいこと。もし手術が失敗したらなんて悩んでいる場合ではない。失敗して死んだら先のこと考えなくていいからその方が楽だ。生きる前提で先のスケジュールを考えておかないとやりくりできない。
とりあえず三ヶ日まではゆっくりして英気を養いたいと思う。