稲包山山頂から一段下りたところで写真を撮る。
白砂山方面はまだ雪があるから6月半ばくらいに行くか。
6月は行きたいところが多いけれど梅雨に入るから中々晴れの日は少ないだろうしやっぱり秋にしとくか?
どう思う?ナゲさん、とナゲとの対話を試みていると後ろから声をかけられてビクっとした。
さっきまで山頂にいた三人のうちの一人、オレンジの服を着た年配のおじさんだった。
どういうルートで歩いてきたのかとかを聞かれる。
なんとなく流れでおじさんの後ろをついて歩くことになった。
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後ろをついて行きながらもナゲ達をスルーするわけにはいかない。
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話を聞いているとおじさんは猿ヶ京に住んでおり、先週も稲包山に登ったそうだ。谷川岳周辺が近所の裏山とは中々いい環境である。谷川周辺の山について軽く話した。
ミネザクラが咲いていると言われたので一応写真に収めたり。
おじさんは普段ストックを使わないらしいのだが、先週来た時に狩り払いされた笹の葉で滑りまくったから今回はストックを持ってきたとのこと。
しばらく下り基調なので最初は気づかなかったが、このおじさん中々歩くのが早い。白髪だったので舐めていたが結構な健脚のようだ。1461mへの登り返しあたりでついていくのがやっとになり心臓が悲鳴を上げてくる。
会話も途切れてきたしこのままついて行ったら僕のよわよわな心臓が死ぬ。鉄塔小ピークへ登り返したところで、風景写真を撮影する流れでそのままおじさんと別れた。
わずか30分ほどの同行であったが、僕は息も絶え絶えになってしまった。
"無茶しやがって・・・"
ナゲにも呆れられてしまった。
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ソロに戻ったのでマイペースで歩けばいいのだが足がなかなか前に出ない。
一度酷使した心臓の動きが悪いのか足は重いし呼吸も苦しい。
知らない人について行ってはいけない、これは大人になってもそうなのだなあと下らないことを考えつつストックを頼りによたよたと歩いていく。
後ろから誰もこなかったからいいものの、誰か来たら遭難未遂で通報されたかもしれない。それくらい瀕死の状態であった。
二本目の高圧電線の下をくぐり稲包山方面を振り返る。11:31。
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キワノ平ノ頭(1511m)まで登ったら休憩しよう。
そう思ったのだが大したことのない登りがかなりきつい。
二段になっているとはいえ登り返し100nもない、目と鼻の先なのに・・・。
まあ実のところキワノ平ノ頭はまだ見えておらず手前の1520mゾーンを眺めていたのだが。
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はいずるようにして登っていく。ストック頼りに足を進めていくが、ストックがなかったら本当に四つん這いで先に進んだかもしれない。
景色がいいのだけが救いだ。
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なんとかかんとか気力で動いてキワノ平ノ頭についた・・・と思ったら一つ手前の小ピークだった時の絶望感。登り返しが緩いだけましか・・・と深呼吸しながら先へ進む。
ナゲは暢気に日向ぼっこしているというのに僕ときたら・・・。
三国峠まではまだ登り返しがあるのか・・・。ちゃんと自分の足で帰れるだろうか。
12:09、ようやくキワノ平ノ頭にたどり着き倒れこむ。
なんかもう意地で歩いてきたが、もっと早く座り込めばよかった。
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もう本当に限界だったので昼食をとった後ザックを枕に寝転んだ。
寝転んで目をつぶっていると心なしか回復したような気がする。
心臓もようやく落ち着いてきたようだ。
このまま昼寝したい気分だが帰らないといけないので先へ進む。12:28。
前方の鉄塔あたりからの登り返しを耐えられるかが肝だな・・・。
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1447mまでは大した登り返しもなくお気楽ハイキングコース、なのだが多少回復したとはいえ疲労のたまった僕の足取りは重い。吹き溜まりなのか残雪が何か所か。
1447mから下って鞍部から少し登り返した鉄塔の根元で腰を下ろしたのが13:26。
大したことない距離なのに一時間近くかかってしまった。
後は目の前の長倉山(1439m)まで登り返せばもう登り返しはほとんどない。
時間は十分にあるので休憩した。
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13:36、歩きを再開。
左側に伸びている鉄塔巡視路に入りたくなるが我慢。
急斜面を登っていくと岩も出てきて、必然的にナゲも出てくる。
しかし相変わらずのやる気ナゲ達は花をほとんどつけていなかった。
14:39、長倉山。流石に標高差が大したことないので一気に登りきれた。
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まだ少し登り返しはあるがこれだけ緩ければ流石に余裕。
前方ストンと落ちた先の鞍部が三国峠で三国山への登り返しは今日の僕には絶望的な標高差だ。
時間はあるが今日のところは大人しく三国峠からそのまま帰ろう。
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登山道わきのやる気ナゲ達を横目に歩いていくと、ちょっと奥で咲いているナゲをここでも見つける。
もしかして藪の中のナゲ達の方が栄養状態がいいのだろうか。
ナゲ達は寒いと葉を縮めるのだが、そうすると光合成がしづらくなる。藪の奥にいるナゲ達は周りの藪に遮られて直接風が当たらないから暖かくて葉を縮める時間が短くなり栄養を蓄えやすい可能性がある。真相は藪の中。
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いよいよ最後の登り返しも終わり、一気に下っていくと三国峠はすぐであった。
14:15。
駐車場まで一気に下りたいのでここで最後の休憩を入れる。
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14:19、下山再開。
しばらく下るとトラバースしていく大般若塚方面と分岐する。
当然三国トンネル方面へと下山。
トラバース方向はヤマビルが出るらしいので、三国トンネルへの下りも警戒していたのだが地面が渇いているせいか、まだ気温が低いのか、はたまた生息地でないのか、幸いにしてにょろりとした生き物との遭遇はなかった。
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旧三国トンネル脇まで下りてきて、三国トンネルへと歩いていくと舗装路に出る最後の箇所が丸太。なんでここだけ手抜きなのか。
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舗装路に出てしまえば駐車地はすぐそこ。
14:50、駐車地着。
朝は誰もいなかった駐車場だがそこそこの車が停まっていた。
ささっと着替えて帰路へ。
大した渋滞もなくさくっと帰れた。

今回の軌跡。登山道なのでアバウト。
この地図は電子地形図25000(国土地理院)を加工して使用しています(令和元年手続改正により申請適用外)
タイトルなし

ヤマビルを懸念した登山であったが、まだ気温が低いおかげで何事もなく快適に歩くことができた。単純に中央分水嶺・県境を歩きたいだけなら三国峠からピストンすればよいのだが、やっぱり周回したほうが満足度は高いと思う。まあ前半は大した展望もないので今回のように時計回りにする方がおすすめ。
しかし今回は油断した。稲包山への登りの時点で大分心臓に負荷がかかっていたのだが、まあ後は下り基調だしとマイペースを崩したのが大失敗。やはり心臓にハンデを抱えていてはロングはつらいのかと、この先の中央分水嶺歩きが不安になった。
ここは連続してロングを歩いて筋肉つけるしかないな。筋肉はすべてを解決する。
そんなわけで翌週もロングに出かけることにしたのだが、今度は寝坊して日没ぎりぎりの歩きになってしまうのであった。